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Cellist 有座 エレナさん

2026.06.03

配信

次世代のクラシック界を担う若手アーティストとして注目を集めるチェロ奏者、有座エレナさん。ベイエリアで育った彼女にとって、凱旋ともいえるリサイタルを6月11日に予定している。そのリサイタルにさきがけ、彼女の音楽性を育んだ生い立ちや、故郷で演奏することへの思いを伺った。


経歴を教えてください

3歳より母のもとでピアノと音楽のレッスンを始め、4歳でチェロを始めました。10歳からはサンフランシスコ音楽院プレカレッジにて、個人レッスン、ミュージシャンシップ、室内楽などを本格的に学び、13歳でサンフランシスコ・シンフォニー・ユースオーケストラに入団。これらの経験は、音楽家としての基礎を築く大きな糧となりました。高校卒業後は、コロンビア大学とジュリアード音楽院の両大学で学べる、ジュリアード・コロンビア・エクスチェンジプログラムに進学し、コロンビア大学でコンピューターサイエンスを専攻しながら、ジュリアードでチェロを学びました。

その後、ジュリアード音楽院修士課程へ進学。ちょうど同時期にパンデミックが起こり、演奏活動の機会が失われる中で、自分にとって音楽がいかに大切な存在であるかを改めて実感しました。また、アーティスト・ディプロマ課程では、ジュリアード音楽院にて、アストリッド・シュウィーン氏のティーチング・アシスタントとして後進の指導にも携わる機会を得ました。

  

現在は、ジュリアード音楽院博士課程(DMA)に在籍し、チェロ演奏と指導の可能性をさらに広げるため研鑽を積んでいます。また、カーネギーホールのフェローシップ・プログラム「Ensemble Connect」のメンバーとして、カーネギーホールで演奏する傍ら、公立学校やクラシック音楽に触れる機会の少ない地域コミュニティーへ音楽を届ける活動にも取り組んでいます。

 幼少期からご活躍されていますが、最初から上手に弾けたのでしょうか?  


決して最初から簡単に弾けたわけではありませんが、人の声に最も近いとも言われるチェロの音色には、幼い頃から特別な魅力を感じていました。私はかなりの負けず嫌いで、年上の兄や同世代の仲間たちが楽器を演奏している環境の中、「もっと上手くなりたい」という思いが強かったように思います。始めた頃は、わずか30秒ほどの曲を暗譜するだけでも涙を流しながら練習していましたし、6歳の初舞台では緊張のあまり演奏が止まってしまった苦い思い出もあります。ですが、暗譜力や舞台での経験は、年月とともに自然に育まれてきたと感じています。

 お母さまはピアノ教室をされていますが、どうしてチェロを選んだんですか?  


実は、チェロを選んだのは母でした。母には「子どもたちと一緒に音楽を演奏したい」という夢があり、特にピアノ三重奏(ピアノ・バイオリン・チェロ)への憧れがあったそうです。兄がすでにバイオリンを始めていたため、私は自然とチェロを担当することになりました。今ではそれぞれ忙しい日々を送っていますが、毎年ホリデーシーズンにはできるだけ時間を合わせ、家族で共演する機会を大切にしています。

 音楽一家とも言えるご家族の存在は、ご自身の進路に影響しましたか?  


同じ屋根の下に、音楽家としての耳を持つ存在がいたことは、とても恵まれた環境だったと思います。もちろん時には厳しく感じることもありましたが(笑)、いつでも率直で的確な意見をもらえる環境は、音楽を学ぶ上で大きな助けとなりました。特に幼い頃から、いつでもピアニストと一緒にリハーサルやアンサンブルができたことは、大きな財産だったと思います。私が豊かな音楽教育を受けることができた背景には、母の存在が大きくありました。また、母が長年多くの生徒を指導してきた姿を見て育ったことで、「音楽を学ぶこと」「音楽を教えること」に対する考え方にも自然と影響を受けました。そのためか、人に教えることに親しみや喜びを感じるようになり、現在では教育活動も自分のキャリアにおいて大切な柱となっています。  


ジュリアードではティーチング・アシスタントとして、プレカレッジから大学院レベルまでの学生を指導しており、博士論文ではチェロ作品における練習法について研究しています。また、プレカレッジではチェロ・テクニックのクラスを担当し、さらにEnsemble Connectの活動の一環として、公立小学校でも毎週音楽教育に携わっています。

共演するソロモン・ゲさんとは、以前にも共演されていますよね?  


はい、ソロモンさんと初めて共演したのは、昨夏のマールボロ音楽祭という8週間にわたる室内楽音楽祭でした。2人から8人編成のアンサンブルで集中的に音楽づくりを行う、非常に特別な夏のプログラムです。ソロモンさんが素晴らしいピアニストであることは、私がベイエリアにいた頃からよく知っていましたが、一緒に演奏したのは昨年の夏が初めてでした。シューマンのピアノ三重奏曲第1番を共演した時間は本当に刺激的で、音楽的にも大きな喜びに満ちた経験でした。  

その後、ジュリアードでソロモンさんをはじめ、友人たちとともに年間を通じた室内楽グループを結成し、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番・第2番を演奏しました。来年以降も、さらに共演を重ねていけることを楽しみにしています。

 リサイタルではどのような曲を演奏されますか?  


今回のリサイタルでは、ブラームス『チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調』、ベートーヴェン『チェロ・ソナタ第4番 ハ長調』、そしてウェーベルン『3つの小品』を、ソロモン・ゲさんと共演します。また、ソロモンさんはウェーベルン『ピアノのための変奏曲 Op.27』を、私はイザイ『無伴奏チェロ・ソナタ』より『グラーヴェ』をそれぞれソロで演奏予定です。

故郷のベイエリアで演奏することについて、意気込みを教えてください  


普段は東海岸で演奏することが多いため、今回ベイエリアに戻り、最近取り組んできた音楽を皆さまにお届けできることをとてもうれしく思っています。ベイエリアは、音楽家としてだけでなく、一人の人間として成長する過程を温かく支えてくれた大切な場所です。だからこそ、こうして戻って演奏し、少しでも地元のみなさまに成長した姿を、音楽を通して見ていただける機会を持てることに大きな喜びを感じています。  

また、ベイエリアの日本人・日系コミュニティーはとても温かく、結びつきが強く、その一員でいられることを心から幸せに感じています。私は幼稚園から小学6年生まで三育学院で学び、その後は中学・高校時代を通してenaで日本語教育を受けました。

また、日本の学校での体験入学の経験もあり、日本文化や日本的な価値観は、今の私自身の感性や視点にも深く影響を与えています。これまでのご支援に感謝すると共に、これからも精進していきたいと思っています。

ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

プロフィール

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Elena Ariza

クパチーノ出身。ジュリアードにて修士号、アーティスト・ディプロマを取得。卓越した創造性と社会への深いコミットメントを兼ね備えた、次世代を担う注目のアーティスト。C.V.スター博士フェローシップ受賞者。2025年、ジュリアードより招聘を受け、ジュリアード・オーケストラとの共演でソリストを務める。ヨーヨーマの「Music Art Life」や、NPR の「From the Top」のほか、世界的な音楽家との共演を重ね、名高い音楽祭にも多数出演。音楽を通じた社会貢献活動も積極的に行っている。

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