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出張ピアノレッスンで ベイエリアを駆け巡る

2026.02.04

配信

2015年にベイエリアにやってきた齊藤真歩さん。サンマテオでピアノ教室を運営する彼女は、従来の楽譜を読んで弾く奏法だけでなく、いわゆる「耳コピ」で弾けるようになる指導にも取り組む。そんな齊藤さんに、現在のベイエリアでの暮らしについて話してもらった。



ベイエリアに住むことに なったきっかけ

2015年に、主人の転職によりベイエリアに来ました。

 ベイエリアに最初にきた時の印象  


公園などで子どもを通じて知り合う人とまったり仲良くなったりすることがとても新鮮で、人がとっても優しいなと感じました。ニューヨークで出会った人達は自分がもっと若かったし独身だったこともあり、もっとイケイケというかトゲトゲ殺伐さえもしていた記憶があります。

 ベイエリアの今の印象  


コロナ以降どんどん閉まっていった空き店舗に少しずつテナントが入り始めて、若干活気が戻ってきたかな? という印象です。

 あなたにとって、ベイエリアは どんな場所ですか  


誰に口出しされることもなく、のびのび自由に生きさせてくれる場所。

 どんなお仕事をされていますか  


ピアノ教室を運営しています。基本的に生徒の家でピアノの個人レッスンを行っているので、ご両親共に忙しい家庭が多い中、この出張サービスがとても重宝いただいていて、ありがたいことに毎日分刻みでベイエリアを走り回っています。  

3歳から音大までクラシックピアノを学んだので、クラシックピアノを教えるのがメインですが、「楽譜を読んで弾く」という従来の教育方法に加え、ゲームみたいに楽しく鍛える「耳コピでピアノを弾けるようにする」という教育法も絶対ニーズがあるはずと信じて止みません。今、学生時代に同じくクラシックピアノを学んでいた主人と共に、耳コピ能力育成の専門クラスを現在進行形で準備しています。近日生徒を募集する予定です。

 その道に進むことになったきっかけ  


「自分はこの厳しい音楽の世界では戦っていけない」と、音大卒業後に音楽の道から一度離れましたが、ベイエリアで娘のお友達にピアノを教えてほしいとお声がけいただいてレッスンを始め、その後生徒さんの紹介で生徒が増えてピアノ教室運営という流れになりました。耳コピレッスンを始めたのは、楽譜を読みたくないという生徒に出会ったこと。また、自分も夜な夜なふとピアノを弾きたくなった時に、クラシックの最高傑作よりもポピュラーソングを耳コピで弾くことが多く、奏法や解釈の正解不正解をあまり気にせず、高貴で時に難しいクラシック音楽とは違う次元でただただ楽しく弾くという時間がありがたく、「耳で弾く」技術に特化したレッスンが提供できたら喜ばれるだろうなぁと思ったことがきっかけです。

 英語を使って仕事をすることについて  


アメリカ在住20年、努力は続けているもののネイティブレベルには到底届かず。でもブロークンイングリッシュでも素晴らしい功績を残している偉大な方々を見てきたので、「最終的に言いたい事が伝わっていれば良い」と、自分を鼓舞しつつも若干開き直ってます。

 英語での成功体験、失敗体験  


指のタッチの強さを説明するためにケースにPuttyと書かれた硬めのスライムで生徒に「This プティーを…」と数ヶ月説明していたら、娘に「それプティーじゃなくてパティーね!」と大笑いされ指摘されたこと。顔から火が吹き出る思いでした。

 あなたにとって仕事とは  


自分のできる限りを尽くしたものを受け取ってもらえる機会。その対価をお金でいただけるありがたい機会です。

 子どもの頃になりたいと思っていた職業  


「ピアノの先生」といつも書いていました。きっとずっとピアノが生活の中心だったから漠然的にそれ以外思いつかなかったのだと思います。

 もし、いまの仕事に就いていなかったら  


どんな業種に就いても、少なからず私のクリエイティブな部分を重宝してもらえる職場を選んでいると思います。

 ベイエリア、および近郊で好きな場所  


ちょっと車を走らせれば行ける緑豊かなトレイル。


 お気に入りのレストランは  


「Golden Era」というサンフランシスコ市内にあるビーガンレストラン。今やどこのレストランに行っても「え、これお肉じゃないの!?」とビーガン食品の凄さには驚かされますが、このレストランは値段が良心的なので好き。場所がちょっとだけ物騒なのがネック。

 よく利用する日本食レストラン  


外食は高いのでなかなか行けません。

 もし、100万ドル当たったとしたら  


数人同時にピアノを教えられるグループレッスン用のスタジオが欲しいです。

 最近日本に戻ったときに感じたこと  


常に他人の目を意識する「ザ・島国」の風潮が日本に住んでいるときは息苦しかったけど、これがあるから日本をここまできめ細やかで洗練された素晴らしい国に押し上げてきたのかもしれない、実はとても大事で今後も日本にとってなくてはならない特性なのかもしれないなぁと最近初めて思いました。エラーや失敗に厳しい国だけど、未熟な各人がもっと自信を持ってどんどん前に出て行けるような寛容さと優しさが溢れる雰囲気が強まるといいなと思いました。

 日本からベイエリアに持って 帰ってくるもの  


日本にはアメリカとは比較にならないほど、たくさんの種類のピアノの教本があるので、ピアノ関係の楽譜や参考書、文房具、上手に弾けた生徒に貼ってあげる大量のシールを持って帰ってきます。

 現在のベイエリア生活で 不便を感じるとき  


どんな専門分野でも信じられない数の種類の本が揃っている東京池袋のジュンク堂のような書店がない! こういう書店がベイエリアにあったらオンラインオーダーにこんなに頼らないで済むのに…と切実に思います。

日本に郷愁を感じるとき  


普通に約束がちゃんと守られることや、最高のカスタマーサービスを「これが標準ですよ」とサラッと提供してくれる日本が、ふとした瞬間に恋しくなります。

 おすすめの観光地  


SFMOMA、デ・ヤング美術館をはじめ色々なミュージアムが楽しいです。あの特別な空間に入り込むだけで、感性のセンサーが無意識にちょっと上がったような気にさせてくれます。



 5年後の自分に期待すること  


今の生徒が楽しくレッスンを続けてくれていること。新しい耳コピのコースが軌道に乗っていること。ピアノの先生としてもっと経験を積んでより良いレッスンを提供できていること。

 最近読んで印象に残っている本  


サンマテオ図書館で見つけた「60歳! アメリカで高校教師になる」という本。 日本とアメリカの学校教育を冷静に比較していて、人間の尊厳などのあり方を考え直させられる良書でした。

 座右の銘  


「Sincerity(正直、表裏のないこと、誠心誠意の意味)」学生時代の恩師に「あなたのピアノの音はsincereだ」と言われ、そのキャラクターを失わない生き方をしたいと思ってます。また、「抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)」は、オードリータンが「先に自分が完璧でない案を出すこと」で他の人が安心して意見を出せる空気をつくり、より豊かな議論を生む、とこの言葉を挙げていました。こういう強さは素敵だなぁ、こういう行動ができる人になりたいなぁ、と思っています。

プロフィール

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SAITO MAHO

日本で生まれ、高校生の時に親の転勤でニューヨークへ。マンハッタン音楽院を卒業後、音楽の道を一旦離れKDDIのNY支社にてカスタマーサポート、その後社長秘書を経験した後、日本に帰国し結婚。現在、二児の母であり、サンマテオでピアノ教室「Maho Saito Piano Studio」を運営している。

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