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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.33

2023.12.13

配信

アメリカ初の落研

 日本の大学には、落語研究会という活動があります。戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代が大学に入り、テレビ、ラジオ、映画に昭和の名人といわれる人が多く出るようになった事を背景に、だいたいどの大学にも落語研究会(落研)ができるようになりました。

 アメリカの大学にはもちろん落研はありませんでした。私はアメリカに移住してから、さまざまな州のさまざまな大学にお伺いし公演してきましたが、日本の文化が好きで集まっている会や日本語を喋る会はありましたが、落語や漫才、コントをするような集まりは見かけませんでした。

 2018年に初めてハーバード大学で公演し、その日に出会ったアメリカ育ちで日米両国にバックボーンを持つスカイさんと落研を作りました。落語会のお稽古や落語会は東アジア研究所(立派な茶室もあるホール)を使わせていただいていますが、大学の公認にはなれずにいます。スカイさん(ざぶとん亭お空)さんは3月の僕の全米ツアー初日のボストン公演で前座を務め、学部生の部員も増えてきていますが、公認を取るのは難しい状態です。

 今年4月、ベイエリアで国際交流基金さまと北加商工会さまのイベントで落語会をさせていただきました。その時にUCバークレーの学生で、卒業後はプロの落語家、噺家になりたいという青年に出会いました。彼は日本からベイエリアに留学し、コミカレで優秀な成績を上げてUCバークレーに編入した、将来日本にとって大事な人材となる人間です。彼の話を聞き、僕自身が22歳で師匠に入門し噺家になった頃を思い出し、その話をしました。僕は落研がとても有名な芸術系の大学に通っていて(落研ではなく、専攻の学問として落語を勉強していました)、途中でやめて師匠に入門しました。しかし、彼の場合は世界有数の大学でビジネスを学んでいます。ご両親のことも含め、いくつか助言をしましたが、彼の意志が弱いようにも思えなかったので、私の団体「RAKUGO ASSOCIATION OF AMERICA」でインターン、見習いとして落語修業の準備をする事になりました。

 彼は久保木秀といいますが、その彼がUCバークレーに大学公認の落研を作りました。アメリカ初の大学公認の落研です。歴史が作られています。その彼が12月28日のサンフランシスコ桑港寺で、僕の「芝浜の会」で前座を務めます。また、日本の全国大会で審査員特別賞を取ったざぶとん亭天助君も受賞作でゲスト出演します。ベイエリアで更新されていく落語の歴史。みなさま、ぜひご参加ください。


柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴25年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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