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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.36

2024.03.13

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在米5年生

 ベイエリアの皆さま、こんにちは。四半世紀という言葉がありますが、私、今年で噺家になって25年になります。1999年の5月3日にこの世界に入りました。2014年に真打ちになりましたので、それから丸10年、2014年に襲名した「柳家東三楼」歴も10年です。また、2019年の夏にアメリカに移住しましたので、在米5年ということにもなります。

 10年ひと昔といいます。四半世紀前なんていうとものすごく昔に感じます。走馬灯のように25年の噺家人生を振り返ると、とても長く感じます。前座修業がはじまり、寄席に出るようになって、一日中落語家(の卵)でいられるうれしさから、あまりの修業のキツさに毎日悲鳴をあげて何度も入院し、なんとか二ッ目に昇進した時の喜び、そして仕事が全くなくなり極貧生活。後輩に真打ちを抜かされ、強いプレッシャーの中での真打ち昇進。打ち上げや後輩への祝儀で毎日何十万円と飛んでいくお金。芸へのプレッシャー、集客の恐怖、「師匠」と呼ばれるうれしさ、さまざまなことが蘇ります。

 しかしながら、僕の中で一段と歩みが貴重に重くなったのは、2018年の初めての北米ツアーを終えて移住を決意し、VISA取得、ニューヨークへ引っ越してからでした。

 知り合いもなく、仕事もない中で生きていかなくてはならない。前座の修業は伝統の中での道筋に従っていれば昇進していきますが、落語家がアメリカで生きていく方法や手段は誰も教えてくれませんでした。ベイエリアでは「あなたは落語会では真打ちで師匠かもしれませんが、アメリカでは1年生です」とわざわざお坊さんが説教してくださったこともありました。お金も人脈もない中、調子に乗って師匠風を吹かせて威張ったわけでもなく、困り果てているだけなのに、わざわざ釘を刺すように説教をいただきました。そのお坊さんも今はベイエリアにいませんが、その方にいつかアメリカで落語の団体を作りたいと言ったことも叶えてきましたし、ベイエリアでの仕事も順調です。

 4月22日にカーネギーホールで独演会をします。4月6日にサニーベイルのSetoレストランで、今年初のベイエリアでの独演会とカーネギー公演の決起集会をします。ニューヨークでもない決起集会。僕はベイエリアの皆さんに本当に感謝しかございません。あの時が1年生だとすると今は5年生。高学年の実力を発揮していきます。



柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴25年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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