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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.31

2023.10.18

配信

子どもたちとの落語寄席

 9月は3週間弱、テキサス州を回りました。オースティンからヒューストン、ダラスとお伺いし、ニューヨークへ帰り、すぐさま日本ツアーというスケジュールです。今年は先月のコラムでも書きましたが、なかなかニューヨークにいられないくらい忙しく、うれしいやら大変やらの悲鳴をあげています。

 今年のテキサスツアーでは、大きな都市の補習校を回ることができました。毎回補習校の公演は「らくご de あそぼ」という、僕が考えたやり方で生徒さんや先生を巻き込んで、楽しく、大盛り上がりで進めます。一般的に日本で行われる学校公演は「学校寄席」という形式で、都内の寄席を学校に再現するという内容です。一番初めに「寄席囃子教室」といって、前座、二ッ目、真打ち、お囃子さんで太鼓、司会を説明し、三味線音楽での寄席囃子を紹介します。一番太鼓は「ドンドンドントコイ」とお客様がたくさん来てくださるように打ち、二番太鼓は「オタフクコイコイ、オタフクコイコイ」とお客様に福が訪れるように、追い出し太鼓は「デテケ、デテケ、テンデンバラバラ」とお客様が帰っていく様を太鼓で表現します。その後は通常の寄席です。

 アメリカではまだ前座さんやお囃子さんがいないので、僕がスピーカーで太鼓や出囃子を流して軽く説明するくらいしかできません。そのかわり、僕が落語をしたり、説明したあとはすぐさま子ども達や校長先生を座布団に上げて、いきなり小噺や仕草(蕎麦を食べたり、饅頭を食べたり)をします。アメリカの生徒さんは日本の子と違って積極的で、たくさんのみんなが手を上げて舞台に上がってくれます。

 サンフランシスコ補習校は校舎も多く、生徒さんも多いですね。以前、オンラインでサンフランシスコ補習校公演をした時は、1000人を越える参加者でした。しかし、オンラインは生の盛り上がりとは違っていました。いつか、ベイエリアの補習校でも会場全体で作る落語教室をしてみたいです。そして毎回補習校公演の際、かわいい「ざぶとん亭」のお弟子さんがいる学校では見本や前座をしてもらいます。彼ら彼女らは補習校では落語を教わっていることを友達に言ってないことがほとんどで、全校生徒の前でいきなり落語をすると友達はびっくりしています。落語を習い事にするのは一般的ではありませんが、だんだんとアメリカで浸透しています。かわいいお弟子さんの実力もびっくりするくらいに上達しています。いつかサンフランシスコ市内の歌舞伎ホールあたりで子どものための大きな落語会をして、お弟子さんには大舞台で落語をしてもらいたい、そんな夢を持っています。


柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴25年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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