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アメリカの法律 In-and-Out Vol.12

2025.01.15

配信

Vol.12 : ハミコ、完全帰国する! の巻

皆さまこんにちは。弁護士の戸木です。前回に引き続き、「ハミコ(仮名)、アメリカに来る」という設定の下、彼女が日々直面する法律問題をご紹介していきたいと思います。  

ハミコも高齢になり、日本に帰国する決意をしました。日本の方が日本食に合う食材を手に入れやすいですし、何よりも日本語が恋しくなりました。ある程度の年齢になって第二言語として英語を習得された方は、若い頃は難なく英語を話していても、年を重ねるにつれて英語を話すのが難しくなっていくそうです。  

完全帰国を決意した際に気にすべき主な点は、滞在資格と税金関係でしょう。  

米国市民権を取得された方は、日本国籍を喪失しているはずですので、日本に入国・滞在するためのビザ・資格(在留資格認定証明書)の取得、米国市民権の放棄、および日本国籍の再取得(再帰化)が必要になります。最近は日本も二重国籍を認めようとする向きもありますが、法律の改正はなされていませんし、生まれながらにして二重国籍の方は黙認状態にあるものの、自らの意思で米国市民権を取得された方は、必ず一度日本国籍を放棄することを求められます。  

ハミコは永住権保持者でしたが、米国に娘・孫がいることから米国に戻る可能性を捨てきれず、再入国許可(Reentry Permit)の申請をして様子を見ることにしました。米国を1年以上離れる場合には永住権を放棄したものと見られますが、再入局許可を得ることで2年まで伸長できます。  

米国市民権または永住権を放棄する場合には、Expatriation Tax(いわゆる出国税)が発生する可能性があります。出国の時点での保有資産が2ミリオンドルを超える場合には、その時点で全ての資産を売却したものと仮定した場合に発生する税金を支払う必要があります。超えない場合であっても申告書の提出は必要ですのでご留意ください。

市民権又は永住権を保持するか、放棄をしても米国内に資産等がある場合には、米国を離れた後もタックスリターンの義務がありますので、この点も気をつけるようにしましょう。  


戸木 亮輔(とぎ・りょうすけ)弁護士 
日本(第一東京弁護士会)、カリフォルニア州、ニューヨーク州弁護士。東京都内で弁護士として約8年間法律事務所に勤務した後、ニューヨーク州のコーネル大学ロースクールに留学。サンフランシスコで勤務弁護士の経験を経て、2024年1月よりKaname Partners US, P.C.を設立、開業。

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