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2025.02.05

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 CES 2025 未来の生活を描く 世界最大のテクノロジー見本市

2025年1月6日から10日まで、ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」では、多くの新製品が披露されました。主催者側(CTA)の発表によると、14万1000人以上が来場し、4500以上の企業・団体が出展し、AI、ロボティクス、スマートホーム、自動車技術、電動で垂直離着陸が可能な航空機(eVTOL)といった幅広い分野で、魅力的な、新しい製品や技術が紹介されました。その中、Eureka Parkには、約1200社のスタートアップ企業が出展。アメリカ(約45%)、ヨーロッパ(約25%)に続いて、日本、韓国、中国などのアジア系企業(約20%)が大きな存在感を示したCESでもありました。以下に、注目された主な内容を紹介してまいります。

 キーノートスピーチ NVIDIA  


CEOのジェンスン・フアン氏は、生成AIが製造業、医療、メディアなど、さまざまな産業に革命をもたらしており、AIと自動運転車、ロボティクスや自律型デバイスの機能をより進化させる「フィジカルAI」開発を加速するプラットフォーム(Cosmos)を今後提供すると講演。

 AIとロボティクスの進化  


ユカイ工学のバッグの持ち手に取り付け可能で、人間の赤ちゃんのような好奇心や恥ずかしさを表現するロボット「みるみ」や、Enchanted Toolsの会話を通じて心理的サポートを行う高齢者向けケアロボット「Mirokai」など、人々の生活を支援する次世代ロボットが展示された。

 次世代GPUとAIの進化


NVIDIAが、AI計算能力の大幅な向上を実現する新世代GPU(RTX50)シリーズを発表。また、サムソンは、テレビの画面上に、俳優の識別やリアルタイム翻訳などの機能を提供する「ビジョンAI」を発表。

 スマートホーム  


サムソンやLGなどが、デジタルサービスやスマートホームプラットフォームへの戦略的な展開を発表。例えば、LGは家電製品やスマートデバイスを学習型アルゴリズムを搭載したAIと連携させ、照明や音楽の調整を通じて快適な住環境を提供するとともに、ユーザーの行動や嗜好を学習し、ニーズに応じた最適なサービスを提案。

 ヘルスケア


①Eli Health 
唾液を用いて、自宅でコルチゾールやプロゲステロンなどのホルモンレベルを測定し、ストレスやその他の健康指標のモニタリングに役立つデバイス「ホルモメーター」を発表。
②サムソン 
睡眠データのモニタリングや睡眠スコアとアドバイスを提供する睡眠管理、また血糖値の監視、個別のレシピ提案、買い物リストの最適化、健康に関する洞察の提供など、ユーザーの栄養管理を統合した、健康管理ソリューションのコンセプトを発表。

 モビリティ・自動運転 自動車技術の未来


①ホンダ 
新型電気自動車「Honda 0 SUV」と「0 Saloon EV」を発表。先進的な自動運転技術とエネルギー効率の向上を実現。また、車両の機能とAIを統合的に制御する、新しい車載用オペレーティングシステム「Asimo OS」を発表。
 ②ソニー・ホンダモビリティ 
40個のセンサーを搭載し、高度な運転支援システム(ADAS)を提供し、高品質なサウンドシステムと座席ごとのディスプレイを搭載した「AFEELA 1」を発表。
③ウェイモ 
今後、自動運転車両をジャガーから、中国のジーカー(Zeekr)と共同開発中の車両に変更すると発表し、その車両を展示。
④ジョン・ディア 
農業分野での作業効率化と自動化の可能性にする自律型トラクターを展示。
⑤XPENG AeroHT 
次世代のモビリティとして、ミニバンの後部座席および荷物置き場を改造して、eVTOLを積んだ「Land Aircraft Carrie Land」を発表。目的地に到着後、eVTOLを降ろし、そこからの飛行が可能。この車両は50回以上の有人試験飛行を終了し、さらなる安全性を実証・検証中で、今後、地上と空中の移動をシームレスに切り替えることを可能にすると注目が集まっていた。

 美容技術  


最後に、世界での市場規模が2024年約1711億ドル、2033年には約2601億ドルと見込まれている、スキンケア市場からの紹介。美容業界としては初めて、昨年のCESでキーノートスピーチをしたロレアルや、瞬時に自分の顔にメイクを投影し、リアルタイムでメイクの仕上がりを体験できるメイクシミュレーションを展示するコーセーと東京エレクトロンデバイス(TED)などが、次世代の化粧品と技術を展示。特に、ロレアルからプロテオミクス(人体におけるタンパク質組成が肌の老化に及ぼす影響に関する研究)を用いて、わずか5分で個人の肌分析(肌の生物学的年齢の評価、成分への反応性の予測、肌トラブルの予測など)を提供する卓上型ハードウェアデバイス「ロレアル セル バイオプリント」を発表し、大きな注目が集まった。  

いかがでしたか。魅力的な新製品が数多く発表され、今後の展開に大きな期待を抱かせる内容でした。引き続き動向を注視し、次なる技術革新を見守っていきたいと思います。

冨田 裕司(とみた ひろし)
米国シリコンバレーに駐在18年にわたり、日本企業のR&D会社の代表を務める。2017年5月日本貿易機構(JETRO)と国立情報学研究所(NII)の共同事務所・シリコンバレーオフィス設立に伴い、NIIオフィスRepresentative、JETRO/Directorに就任。熊本県出身。


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