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2026.03.04

配信

ロボティクスの現在地と今後

ロボティクスへの関心の高まり


AIが発展する近い将来に、デジタルの知能とフィジカルな動作を組み合わせたロボットが社会に実装されるのではないかと考える人が増えています。これまでのロボットは、あらかじめ決められた動作をすることが得意でしたが、フィジカルAIと呼ばれる基盤モデルを使うことで、自律性・汎用性を高めたロボットの実用化が可能になりつつあります。多用途ロボットの普及はこれからですが、2030年頃を境に世界市場が急拡大し、2040年までに約60兆円規模に達するという予想もあります。  

例えば、積極的にロボットを活用している米国企業の一つであるアマゾンは、倉庫や物流拠点での作業を自社開発したロボットに担わせるとともに、ロボティクスのスタートアップ企業にも投資しています。パロアルトのスタートアップ1Xテクノロジーズは、月額499ドルで利用できる家庭用ヒューマノイドロボットの提供を始めました。  

このように、AIを搭載することで、自律性・汎用性を高めたロボットが、将来の人手不足の克服や、事業の効率化に役立つのではないかと期待されています。

 見えてきた課題  


ロボットを動作させるための基盤モデルの学習に必要なデータの収集は、ウェブサイト上の文章などを訓練用に使うことのできる言語モデルと異なり、時間とコストがかかるといわれてきました。ただ、足元では、動画やシミュレーションを用いて訓練用データを作成するなど、そのハードルを引き下げようとする動きが加速しています。ハードウェアについては、基本的な動きは技術的な完成度が高まってきています。他方、手先の器用さ、触覚、人間の手のような把持力などの面では、さまざまな用途に使うためにはまだ乗り越えなければならない課題があると言われています。

また、需要サイドに目を向けると、これまでの工業用ロボットのような限られた用途のみの利用では大量生産が困難であり、いかにして初期のスケールアップを牽引する用途を見つけ、コスト低減とデータ蓄積を図るかという、量産化に向けたシナリオが今後大事になると考えられています。

 ハードは中国、ソフトは米国  


昨年から、中国製のヒューマノイドロボットが踊ったりスポーツをしたりする様子が注目を集めてきました。中国では、モーターやバッテリーなどEVに必要な部品の製造技術やサプライチェーンがロボットにも応用され、迅速に試作・検証し、改善を図る循環が速いスピードで回っています。また、ホテルや外食、公共空間での実環境でロボットが利用される場面も多く、そうした中で得られたデータを開発に用いることができる点も強みといえます。  

米国は、基盤モデルなどソフト面に強みを持っています。エヌビディアなど半導体企業が“ロボットの脳”を提供し、その上に、ソフトウェアや機体メーカーが展開するという水平分業を志向する企業もあれば、アマゾンやテスラのように自社の倉庫や工場で使うことを意識しながら、垂直統合的に取り組む企業もあり、米国らしいダイナミックな動きがみられます。  

昨年12月には、マウンテンビューでヒューマノイド・サミットというカンファレンスが開かれ、世界中から約60社のロボット開発のスタートアップが集まり、約2000名が来場しました。機器だけでなく、制御・基盤モデル・触覚・アクチュエーションの最新成果が一堂に会したといえます。

また、今年1月のCES2026では、宇樹科技(Unitree Robotics)などの中国企業を中心にヒューマノイドが多数展示され、ボクシング、卓球、ダンスなど様々な実演を披露するなど存在感を放っていました。西海岸が、米中のロボット関連技術が出会う場になっているといえます。

 ロボットはどこに向かうのか  


これまで、ヒューマノイドロボットの動きを見せる“ショー”や、パイロット的な導入の側面が強かった多用途ロボットの利用ですが、今後はスケールアップを見据え、顧客や導入場面、実運用を見据えたものへと移行すると見込まれます。  

前述した米中の関係は、中国のハードと実環境展開の速さと、米国のソフト・基盤モデルを、補完的に使おうとする戦略を描く企業もあり、単純なものではありません。また、オープンな開発環境など、プラットフォームの行方がどうなるかという点も見逃せません。今後、需要側の用途(物流・製造・医療・軍事など)のニーズを見つつ、供給側のエコシステムが段階的に成熟していくという流れを予想していますが、そうしたグローバルな潮流の中で日本企業としてどう取り組んでいくのか、2026年は日本のロボティクスにとっても重要な年になるはずです。

安藤 元太(あんどう げんた)
JETROサンフランシスコ事務所に2023年7月に次長として着任し、AI分野などの産業調査やスタートアップ支援の業務を行う。当地への赴任以前は、経済産業省において、コーポレートガバナンス改革、M&Aに関するガイドライン策定や税制改正、電力システム改革等に携わる。


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