米国グラスルーツ事業(草の根の活動)
内米国の政権交代の影響を注視
米国大統領選挙の投開票が11月5日に行われ、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に勝利しました。あわせて、連邦議会下院選挙において、共和党が過半数の議席を獲得し、2025年1月から始まる第119議会は、上下両院ともに共和党が多数党となります。これにより、大統領職と上下両院の多数党を同一の政党が担う「トライフェクタ」が実現し、トランプ氏の政策実現に向けたハードルが低くなりました。政権交代による政策変更が日本国や米国に進出している日本企業に大きな影響を与える可能性があります。
日本は世界一の対米投資国
米国は日本にとって最も重要なパートナー国で、輸出入は第1位の中国に次いで第2位です。また、米国にとっても日本は重要で、2023年の対米投資は7830億ドルと5年連続で首位となっています。州ベースでみると全50州で日本は上位3位の投資国となっており、そのうち36の州で首位となっています(2021年)。投資分野は、産業機器や自動車関連など製造業が多く、製造業で53万人以上の雇用を創出しています。これは2位のドイツより23万人も多く雇用しています。また、R&Dへの投資は126億ドルで首位となっており、米国での研究開発に力を入れていることがわかります。このように、日本企業は米国社会に深く根差しており、多大な貢献をしています。
米国政府との関係構築
グラスルーツ事業は、米国の州・地方レベルにおける日米関係の重要性に関する認識を深め、ひいては連邦レベルにおける対日政策形成プロセスにも望ましい影響を与えていくことを目的としています。具体的には、日本企業の米国経済への貢献度を連邦・州・市などの行政機関に発信するとともに、必要に応じ、日本企業のビジネス環境改善に取り組んでいます。ジェトロは、米国に6拠点(サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、アトランタ、ヒューストン)を有し、各事務所が管轄州との関係構築に努めています。ジェトロ・サンフランシスコでは、8州(北カリフォルニア、北ネバダ、アラスカ、ワシントン、オレゴン、アイダホ、モンタナ、ワイオミング)を所管し、日本国総領事館、領事事務所と連携しながら、機会を捉えて州知事への表敬訪問、知事室・商務部とのミーティングを実施しています。
各州政府の日本への
アクセスをサポート
各州政府は、州内の経済活性化のために企業誘致に取り組んでいることから、ジェトロは日本企業へのアクセスをサポートしています。具体的には、知事が訪日する際の投資誘致セミナーの開催、各州の投資プログラムや優遇策や現地の進出日系企業の事業を紹介するウェビナーの開催、現地のビジネス・投資環境を視察するミッション派遣を実施しています。今年は4月には日・ネバダビジネスウェビナーを実施し、ネバダに関心のある55名が参加しました。
また、10月にはアイダホ州とオレゴン州に半導体視察ミッションを派遣しました。半導体は日米双方にとって戦略的に重要な産業で、更なる連携が期待されています。アイダホ州では、半導体製造機器の東京エレクトロン、半導体メモリのマイクロン・テクノロジー、マイクロン進出時に出資をした業務用冷凍フライドポテトメーカーのシンプロットを9社11名が訪問しました。オレゴン州では、半導体製造のマイクロチップ・テクノロジー、インテル、研究機関のオレゴン・マニュファクチャリング・イノベーション・センターを25社29名が訪問しました。
本ミッションでは、現地のビジネス・投資環境を視察するだけなく、州政府(商務部)に加え、市長、開発公社など、現地でビジネスするうえで重要な関係者とのネットワーキングの場を提供しました。経済・ビジネス面で州・地方レベルの行政機関との連携を希望する場合は、ジェトロにお声がけください。
小林 努(こばやし・つとむ)
日本貿易振興会入会後、松江、シンガポール、東京本部などで中堅・中小企業の海外展開を支援。2023年8月よりサンフランシスコ着任。米国スタートアップの日本進出、米国企業と日本企業の協業・連携支援を担当。
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