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2025.06.04

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日本による米国経済への大きな貢献について

2025年4月にトランプ米大統領より新たに発表された関税政策は世界経済に大きな影響を与えております。米国の全輸入品への10%関税、貿易赤字が生じている中国、日本、EU等57の国・地域には、相手国の関税率に応じた追加関税の設定(相互関税)、そして自動車や鉄鋼など戦略的品目には25%の追加関税の設定などが主な内容となっておりますが、日本経済・企業への影響は大変大きいものと考えております。  

特に自動車については、日本から米国への自動車・同部品の輸出額は対米輸出の3割以上を占めており、これらの製品にかかる関税コストは著しく大きくなります。多くの日本企業が米国、メキシコ、カナダに進出し、USMCAを活用して対米輸出をするサプライチェーンを北米で構築していた環境が変わり、自動車産業への影響も非常に大きなものとなります。日本企業だけでなく、米国企業や米国経済にも大きな影響を与えるものと考えられます。  

このような激動の世界経済の状況の下で、日本による米国への貢献についてお話をしたいと思います。実は日本は海外から米国への直接投資国(FDI)として大きな役割を果たしております。全米39州において日本からの投資はトップ3にランクインしており、カリフォルニア等22州においては第1位を誇っております。2023年においては日本から米国への直接投資額は7833億ドルであり、2位のカナダ(7496 億ドル)、3位のドイツ(6578億ドル)よりも多くの投資を米国に行ってきております。また日本からの直接投資が生み出す雇用数ですが、こちらも日本が第1位で約100万人の雇用を日本からの直接投資によって米国で生み出しております。日本からの直接投資によって米国の製造業において、50万人以上の雇用を生み出していることは特筆すべき状況です。(いずれの数字も米国商務省のデータによる)  

このような実態からも、日本は米国の社会経済にとっても良きパートナーと言えるでしょう。私どもジェトロでは、米国の連邦政府にも丁寧に日本の産業による米国への貢献についてしっかりと説明しておりますが、グラスルーツ活動の一環として、各州政府の知事をはじめ、関係機関にも頻繁に赴き、このような日本による貢献の実態について丁寧に説明をしております。これからも丁寧な説明を続けることによって、日米が経済産業面でも良きパートナーとして信頼関係を構築していくというメッセージを打ち出していきます。  

さて、私事になりますが、私はこの6月末には帰任することとなりました。2022年10月に当地に着任して以来、皆さまには公私共々大変お世話になり、本当にありがとうございました。世界中から人材と頭脳が集まる世界一のイノベーションの街、そしてスタートアップの聖地として発展を続けるベイエリアでお仕事ができたことは、私の職業人生の中でも珠玉の経験です。皆さまへの感謝の気持ちとともに、益々のご発展を心から願っております。本来なら皆さま一人ひとりにご挨拶、御礼に伺いたいところですが、こちらの紙面をお借りして御礼のご挨拶とさせていただきます。そして引き続きジェトロは皆さまのビジネスをサポートさせていただきますし、また私どもの業務についても引き続きご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

林 揚哲(はやし・ようてつ)
信託銀行、電力会社での新規事業立ち上げを経て2004年経済産業省入省。入省以来、金融、人材育成、モノづくり、小売流通、中小企業育成支援、通商などの政策分野に携わる。2022年10月よりジェトロ・サンフランシスコ事務所長


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