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シリコンバレー発ビジネス最前線

2025.04.02

配信

シリコンバレーと他の地域とのスタートアップエコシステムの比較

サンフランシスコに駐在して3年以上が経過した。この期間、北米ではニューヨーク、ボストン、シカゴ、デトロイト、アトランタ、ヒューストン、オースティン、欧州ではロンドンとパリを訪問した。その中で感じた、欧州と米国、他の都市とシリコンバレーとの違いなどについてお伝えしたい。

 米国と欧州のアクセラレーター(Accelerator)の特徴  


アクセラレーターとは、スタートアップのビジネス拡大に資する資金やノウハウなどを3ヵ月~6か月程度の短期間に提供し、この短期間にビジネスを急成長させる支援を行う組織。

①米国のアクセラレーター  
「数百~数千の申込者の中から採択したプレシード(売り上げなどがない状態)やシードのスタートアップに数万ドルから数十万ドルを投資し、それと引き換えに株を取得、将来的なEXITを目指す」というモデルが一般的である。シリコンバレーにおいては、Y Combinator、500 Global、 Indie Bio、Alchemist、Berkeley Skydeckなどのアクセラレーターが有名である。

②ロンドンやパリの  アクセラレーター  
上記のような投資付モデルではなく、採択したスタートアップとの協業を目指す場合や起業家教育プログラムを提供することが多い。例えば、パリ市内にある「世界最大のスタートアップ支援コミュニティー」であるSTATION F関係者によると、同施設に入居しているLVMHやTotalEnergiesなどは教育プログラムを提供しているが、資金までは提供しておらず、協業相手の探索などが主な活動となっている。イギリスのOxford University Innovationからも同様のコメントがあり、彼らの多くのアクセラレータープログラムは投資付きではないとのことであった。

 米国と欧州のVC (ベンチャーキャピタル)の特徴


①シリコンバレーおよびその他米国  
シリコンバレーについては、プレシードやシードなど、アイデアやプロトタイプ(試作品)しか保有していないスタートアップ、マーケットにサービスや商品が受け入れられる前や売り上げ獲得前のスタートアップに対しても投資するVCが多数存在する。シリコンバレーのVCは、当初のアイデアやプロトタイプは必ず変わると考えており(Pivot)、それに対応できる創業者やチームが形成されているか、当該商品やサービスが大きな課題解決につながるかどうか、という部分などで投資判断することが多い。米国内において、この初期段階のスタートアップに投資するVCが多数存在するのはシリコンバレーの特徴である。

シリコンバレー以外のニューヨークやシカゴ、アトランタなどについては、「形のない、アイデアだけの良くわからないビジネスには投資しない」というスタンスのVCが多い。東海岸と西海岸のエンジェル投資グループに所属するBerkeley Skydeckのアドバイザーからは「西海岸のグループはどんどん投資を決めていたが、東海岸のグループはほとんど投資ししなかった」とのコメントもあった。

② ロンドンやパリ  
ロンドンやパリの場合、初期のスタートアップの資金調達については、補助金獲得がかなりの部分を占めている。政府等の補助金等を使い、顧客獲得や売り上げ獲得に至った段階でVCが入ってくる。売り上げ獲得前でも投資するVCが多いシリコンバレーとの違いが興味深かった。

 その他の違いや特徴


① 欧州のCVC  
スタートアップに投資するよりも協業先やPoC(Proof of Concept:概念実証)先を探す活動が活発。将来的に投資する姿勢を見せることでスタートアップを引き寄せたい想いも強い。ドイツではBMWが「Startup Garage」を立ち上げており、本格的に活動。同社のベンチャークライアントモデルはフランスやイギリスにも影響を与えている。

 ② ロンドン、オックスフォード  
ロンドンの資金調達額はパリやその他の欧州主要都市を足し合わせた規模感。オックスフォードはバイオやファーマ分野も強く、特に臨床試験に強みがある。実際に、米国ではなく、イギリスで臨床試験を実施しているシリコンバレーの日系スタートアップも存在する。

 最後に  


多くの都市を回り、あらためて感じたのは、資金調達を含めたスタートアップエコシステムはベイエリアが圧倒的であるということ。どの都市に行ってもシリコンバレーは強く意識される傾向があった。スタートアップのどのステージにも合うアクセラ、VC、CVC、メンターなどの多数のプレーヤーが存在し、スタンフォードとUCバークレーではさまざまな起業家育成教育が行われている。米国内においても非常にユニークで興味深い土地であり、まだまだ新たな発見がありそうだ。

吉田 健(よしだ けん)
2000年ジェトロ入構後、機械、食品、伝統産品等の輸出支援、中国・アセアンへ日用品・生活雑貨の輸出支援などに従事。また、外務省への出向や外食、小売、理美容、教育等の海外への出店支援など、幅広い分野での業務に携わる。ジェトロ佐賀貿易情報センター所長を経て、2021年10月よりジェトロ・サンフランシスコで勤務。


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