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シリコンバレー発ビジネス最前線

2023.05.03

配信

テキサス州で開催のSXSW2023について

在シリコンバレーの日本企業からも参加された方がいらっしゃったかと思うが、本年3月10日から19日までの間、テキサス州オースティンで、世界有数の複合フェスティバルであるSXSW(サウスバイサウスウェスト)2023が開催された。毎年、世界中から多くのアーティスト、起業家、技術者、投資家等が集まるイベントで、筆者も昨年に続いて期間中の前半パートに参加してきたので、その模様を簡単にご報告したい。(以下は組織の見解を代表するものではなく、あくまで個人の見解であることに留意されたい。)

 SXSW2023とは  


SXSW2023は、大きく分けて、①カンファレンス(著名人による基調講演、専門家によるパネルディスカッション、ベンチャー企業によるピッチコンテスト等)、②フェスティバル(映画、TV、音楽イベント等)および③先端技術等の各種展示、から構成されている(注1)。  中でも、カンファレンスは、そのテーマだけでも、気候変動問題を含め、横断的な社会課題解決に関するテーマ(例:食料、エネルギー問題)から、個別セクター(例:音楽業界やヘルスケア分野)におけるテクノロジーの活用まで、かなり多岐にわたる発表が行われた。加えて、物理的にも、朝から夜まで様々なカンファレンスが、中心会場となる展示場だけでなく、隣接のホテルも含めた市内にある各会場で同時多発的に開催されており、参加者の関心テーマに応じて、参加するイベントのメニューを各自カスタマイズして参加するのが本イベントの醍醐味といえよう(専用のアプリを使って、出席したいカンファレンスの予定を見ながら、一日の予定を立てていくイメージ)。  

展示関係では、毎年1月にラスベガスで開催されるCESのように、展示会場の中に個別の企業や政府機関のブースが立ち並び、先端的な製品やサービスが個別に展示・紹介されているもので、いわゆる一般的な展示会と同様のスタイルとなっていた。幸いなことに、日本からも複数の企業(メーカーやメディア等)や自治体関係者がブースを出されており、見事、イノベーションアワードのファイナリストまで残った企業もいらっしゃったことは強調しておきたい(注2)。加えて、メタバースとも呼ばれるXR(注3)のテクノロジー領域については、別途、特設会場が設けられ、実際にXRのHMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着して、最新のXR技術を体験することもできた。  

さらに、展示会場の外に目を向けると、音楽コンサートや映画上映等、各種フェスティバルが開催されているほか、SXSW20 23に併せて、様々なサイドイベントも市内各所で開催されていた。例えば、ドイツ政府関係では、展示会場から少し離れた飲食店街の一角にGerman Hausという会場を設け、イノベーション関係の会議から音楽関係のイベントまで、様々な企画を行っていた。

 2023 Emerging Tech Trend Report  


筆者が個人的に楽しみにしていたのが、定量的な手法で未来予測をする学者でありFuture Today InstituteのCEOでもあるAmy Webb氏のセッション(Amy Webb Launches 2023 Emerging Tech Trend Report)で、昨年に続き本年も参加したので、簡単に紹介したい。  このセッションは、長期的な視点に基づき、先端的なテクノロジーのトレンド/方向性を予測した上で作成された楽観シナリオと悲観シナリオに沿って、我々が当該テクノロジーをどう取り扱っていくべきかについて示唆を与えてくれるもので、大変人気のあるセッションの一つである。(今年はインターネットの進化と、Generative AIやメタバースの実社会での活用が中心のテーマ)

今年はセッションの模様が動画で公開されており(注4)資料もダウンロード可能なので、お時間のある方は是非、ご視聴されることをお勧めしたい。  

以上のように、日本での知名度もあってCESの方が注目されがちであると思われるが、SXSWも先端技術の議論がフォローできたり、熱気あふれるピッチコンテクストに参加できるというCESと同じ良さがある上、参加者が多様性に富んでおり、音楽/映像イベントとのコラボという点も非常にユニークであるので、フォローする価値のあるイベントではないかと思う。SX SWは毎年3月の開催なので、来年のSXSWはまだ先のことであるが、ご参加の要否の判断の一助にしていただければ幸いである。

(注1)詳細は、SXSW2023のホームページを参照ください。
www.sxsw.com
(注2)詳細は、3月24日発行のJETROビジネス短信を参照ください。
www.jetro.go.jp/biznews/2023/03/8e99fbf7c3c41193.html
(注3)XR(エックスアール)とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実と仮想の世界を融合して疑似体験を提供する空間を創り出す技術の総称のこと。
(注4)www.youtube.com/watch?v=vMUpzxZB3-Y

中西 友昭(なかにし ともあき)
2000年通商産業省(現 経済産業省)入省後、大臣官房、経済産業政策局、資源エネルギー庁等のポストを歴任した他、内閣官房に出向して成長戦略の取りまとめを担当。2020年11月に、ジェトロ・サンフランシスコ事務所次長に就任し当地の産業調査を担当。WEFフェローとしてデータ・ガバナンスの議論に参加。東京大学法学部卒、ノースウエスタン大学ロースクール修了。

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