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2023.07.05

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カリフォルニア州の様々な規制について

皆様ご存知のとおり、カリフォルニア州には事業者が順守すべき多数の規制や義務が存在します。ジェトロではこれまで、特に日系企業の皆様の事業に影響があると思われる規制や義務についてセミナーを開催してきました。今回は、今年開催したセミナーについてご紹介させていただきます。

 カリフォルニア州 プライバシー権法(CPRA)


CPRAとは、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)を改正する州法のことです。CCPAは、2020年1月に適用が開始された民間部門対象の包括的なデータプライバシー法で、カリフォルニア州民(消費者)の個人情報を取得する事業者に課される情報開示義務や、消費者に対しオプトアウト権(個人情報の販売中止を求める権利)を与えることなどが定められています。カリフォルニア州ではこのCCPAを改正するCPRAが2023年1月1日に適用開始となり、3月29日にその実施の詳細を定めたCPRA規則が発効されました。  ジェトロでは2023年5月に、今回の改正を解説するため、S&K Brussels法律事務所の杉本武重弁護士を講師に招き、「カリフォルニア州プライバシー権法(CPRA)解説セミナー」を対面形式で開催しました。  

セミナーでは、主な改正点の紹介があり、消費者に与えられる権利として、訂正権(事業者が保有する自身に係る不正確な個人情報につき、その訂正を請求する権利)や制限権(自身に係るセンシティブな個人情報につき、事業者にその利用および開示を制限するよう請求する権利)が追加されたとの説明がありました。また、ChatGPTなど生成AI(人工知能)との関係についても説明があり、考慮すべき事項として、生成AIの業務利用の原則禁止および使用する生成AIの特定・明示、履歴保存の無効化、使用目的の文書化、生成AIサービス提供者と改正後のCCPAの要件を満たすかたちでの契約締結などが挙げられました。  

セミナーの資料は、ジェトロのサイト(注1)よりダウンロート可能ですので、ぜひご活用ください。

 PFAS関連規制  


PFASとは、いわゆる有機フッ素化合物の総称で、耐熱性、耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、多くの産業や製品に利用されてきました。一方で、自然環境では容易に分解されず、環境汚染や生態系、人体への悪影響といったマイナスの特徴があることから、米国の連邦法や各州の州法により使用に関する規制を強化する動きがあります。カリフォルニア州では、調理器具(PFAS以外も含む「指定リスト(Designated list)」に掲載された物質の使用開示義務)や食品包装(使用禁止)について、PFASに関連する規制が2023年1月に施行となりました。繊維製品や化粧品についても、使用禁止となる規制が2025年1月1日から施行予定となっています。  

本規制については2023年4月、SGR法律事務所の小島清顕弁護士と木村勇人弁護士を講師に招き、「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」をオンラインで開催しました。  

セミナーでは、両講師から米国とカリフォルニア州の規制の概要や、規制対象の具体的な定義や製品、調理器具に使用される場合のウェブサイト、製品自体への情報開示方法、違反した場合のリスク、今後の対策などについて解説がありました。  

ジェトロのサイトでオンデマンド配信・資料の掲載(注2)をしていますので、規制に関連する企業の方は、ぜひご活用ください。

 プロポジション65  


プロポジション65とは、カリフォルニア州法の「1986年安全飲料水および有害物質施行法」のことで、発がん性物質や生殖障害を引き起こし得る化学物質が製品に含まれていることを州民に警告する義務や、当該物質を飲料水の水源へ放出することを禁じる規則などを定めています。同法はカリフォルニア州で事業を展開する上で対応すべき規制の1つで、製造業の場合、10人以上の従業員を有する企業が対象となります。また、同州に現地法人を構えていない企業なども対象となり得、日本企業が自社または第三者の電子商取引(EC)サイトでカリフォルニア向けに商品を販売・出荷する場合も、同法に基づく警告義務を負います。  

本法律については2023年1月、SGR法律事務所の同2名の弁護士を講師に招き、「最新プロポジション65解説セミナー」をオンラインで開催しました。  

セミナーでは両講師から、同法の概要のほか、規制対象となる活動や化学物質、法執行の内容、警告の記載例などについて解説がありました。本セミナーについても、ジェトロのサイトでオンデマンド配信・資料の掲載(注3)をしていますので、規制に関連する企業の方は、ぜひご活用ください。  

また、ジェトロでは、プロポジション65に関するQ&A集の作成も予定しております。完成次第、ニュースレター(注4)などでお知らせさせていただく予定です。引き続きセミナーなどを通じて、日系企業の皆様に関連する規制の情報をお届けできればと思います。

(注1)ジェトロビジネス短信
 https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/05/29862422201df032.html

(注2)カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー(2023年4月27日実施)
https://www.jetro.go.jp/biz/seminar/2023/32da37647cdf32a8.html
(注3)最新プロポジション65解説セミナー(2023年1月18日実施)
https://www.jetro.go.jp/biz/seminar/2023/fc3a94ef2ac9464e.html
(注4)ジェトロ・サンフランシスコ事務所のニュースレター配信希望の方は、sfc-marketing@jetro.go.jp まで、「ニュースレター配信希望」とメールをお送りください。

石黒 誠也(いしぐろせいや)
2014年茨城県庁入庁。2018年新設の営業戦略部に3年半在籍し、県産品輸出支援を担当。2021年10月にジェトロ農林水産・食品部に出向となり、オンライン商談支援を担当。2022年4月より現事務所にて日系スタートアップの米国進出支援、日本産品の輸出支援を担当。東京海洋大学大学院修了。

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