世界最大規模の先端テクノロジー見本市 「CES2024」

2024年1月9日から12日、ラスベガスで世界最大規模のテクノロジーイベントであるCESが開催された。このCESは1967年にニューヨークで第1回が開催され、当初は、消費者向けの家電や電子機器などを中心とする見本市であったが、近年はスタートアップなどを含む世界最先端のテクノロジーやトレンドを発表するイベントという色合いが強くなっている。また、600社以上のモビリティ出展者を擁し、世界最大かつ最も急成長している自動車、モビリティ、輸送のグローバルイベントの一つにもなっている。

 CES2024のハイライト 　

出展者は4300社以上、150の国・地域から延べ13万5000人以上が参加し、1000人以上のスピーカーによる250を超えるセミナーやセッションが行われ、イノベーション・アワード・プログラムには、過去最高の3000以上の応募があり、新しいカテゴリーとして人工知能（AI）が含まれた。

 ① 注目テーマ 　
人工知能（AI）が話題の中心となり、各企業は世界を改善するAIの大きな可能性を強調した。ほかに「人間の安全保障」「サステナビリティ」「デジタルヘルス」「モビリティ」などのテーマも注目を集めた。 　

「モビリティ」は自動走行車、電気自動車、マイクロモビリティ、空飛ぶクルマ、さらにアシストモビリティと安全システムの未来に焦点を当てた世界的な発表が行われた。「サステナビリティ」については、再生可能エネルギーの開発、排出ガスと廃棄物を削減する技術や製品、サービスを通じた持続可能なソリューションへの取り組みが紹介された。「デジタルヘルス」では、コスト削減、健康の向上、人命救助を目的としたツールや技術が注目された。デジタル技術で疾病の予防や診断・治療を支援するソフトウェア、メンタル・ウェルネス、睡眠技術、遠隔医療などのイノベーションが紹介された。

 ② 基調講演 　
世界最大の化粧品会社であるロレアル・グループが初めてCESの基調講演に登壇。ロレアルは、世界中の人々の生活を向上させる美容技術のビジョンを共有し、新製品の発表などを行った。また、ベストバイ、インテル、クアルコム、シーメンス、ウォルマートなどのCEOも登壇し、テック企業とのパートナーシップを強調、新製品を発表した。

 ③ スタートアップ 　
スタートアップが出展する「ユーリカパーク」では、日本、フランス、イタリア、イスラエル、韓国、オランダ、ウクライナなどの国別パビリオンを含め、過去最高の1400社以上が出展した。特に韓国の存在感が際立っており、合計550社が様々な業界団体の傘下で出展した。

 CES2024における JAPAN パビリオン 　

ジェトロは、スタートアップ企業が集まる「ユーリカパーク」内にジャパンパビリオンを設置。パビリオンの出展募集に対しては過去最多の応募があった中、審査を通過したスタートアップ30社が出展した。 　

ジャパンパビリオン内は、サステナビリティ、ライフスタイル、フードテック、XR/DX（クロスリアリティ/デジタルトランスフォーメーション）、の4つのカテゴリーに分けて展示を行った。出展者がピッチを行うためのステージも設けた。また、以下に記載のスタートアップを含めた6社の製品がイノベーション・アワードを受賞するなど、高い評価を得た。

【ベスト・オブ・イノベーション受賞製品（2社）】
・SQPVガラス（受賞企業：inQs）：効率的にエネルギー収集を可能にする透明な太陽光ガラス、スマートシティ部門で 受賞（同部門を含む3部門でイノベーション・アワードを受賞）。ほか1社

 【イノベーション・アワード受賞製品（4社）】
・iwasemi RC-α（ピクシーダストテクノロジーズ）：音響メタマテリアル技術を応用したガラスに貼れる透明吸音材、 家庭用品部門で受賞。
・I-Robo（テックマジック）：自動味付け・自動調理・自動洗浄フライパンなどの機能を備え、クラウドに接続し膨大な デジタル・レシピ・ライブラリを利用することができる調理ロボット、ロボティクス部門で受賞。
・WOTA BOX（WOTA）：シャワーや手洗いからの排水を再利用できるよう処理する世界初の携帯型水再生装置、 サステナビリティ・エコデザイン・スマートエネルギー部門で受賞。ほか1社

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吉田 健（よしだ けん）
2000年ジェトロ入構後、機械、食品、伝統産品等の輸出支援、中国・アセアンへ日用品・生活雑貨の輸出支援などに従事。また、外務省への出向や外食、小売、理美容、教育等の海外への出店支援など、幅広い分野での業務に携わる。ジェトロ佐賀貿易情報センター所長を経て、2021年10月よりジェトロ・サンフランシスコで勤務。