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あなたの「今」が輝くために−其の百五十八

2026.02.04

配信

「別の視点」


 昨年末、無事に修士論文を提出することができました!わーい! ですが、改めて学ぶことの楽しさと、多くの方々の支えがあって学ぶことができたのだと、知らされた思いです。その他にもう一つ、面白いことに気付かされました。それは、楽しく書いている時の論文は往々にして良くないということです。

 これは教授からの指摘を受けて気付いたことですが、私が楽しくご機嫌さんで書いた文章は、根拠が私の考えや思いなので、エッセイなら良いかもしれませんが、論文としては良くなかったのです。それに対して、筆の進みが悪かったところは、私の考えがうまく論述できなかったところです。そのような場合、真宗学専攻なので、浄土真宗を開いたとされる親鸞さんが書かれた書物に尋ねます。親鸞さんの学び方に学ぶことが基本なので、親鸞さんはどのように経典のお言葉を受け取られたのか? に基づいて自身の論を展開します。論文はそうして書かなければならないのに、筆が進んでいたところは、自身の受け止めを根拠とし、好き勝手な論を展開してしまっていたのです。だから、良くなかったのです。

 これは日々の生活にも当てはまるのでは? と、思いました。例えば、毎日楽しく、ご機嫌さんで過ごしている時は、当然のことながら反省することもなく、「このままでいいのか?」と立ち止まることもありません。反対に問題が起こり、「どうしよう?」と困ったことが起こった時は、否応なしに立ち止まることになります。おかげで、「何がダメだったのか?」と、自身を含め色々なことを振り返ることができます。

 ということは、調子良く暮らしている時は、実はあまりいい時ではなく、注意が必要だということになります。それに対して、問題を抱え、困ったという状態の時こそ良い時だということになります。とはいえ正直なところ、何の問題もなくご機嫌さんで暮らしたいものです。しかしこのことを知っていると、問題が起こった時に「どうしよう?」と落ち込むだけでなく、別の視点でその問題に向き合うことができるのではないでしょうか。

 今年も、仏教に学ぶ中で気づかされたことを、このコラムを通して皆さんとシェアできればと思っています。よろしくお願いします!



写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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