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アメリカの法律 In-and-Out Vol.09

2024.10.16

配信

Vol.09 :ハミコ、離婚する!の巻

皆さまこんにちは。弁護士の戸木です。前回に引き続き、「ハミコ(仮名)、アメリカに来る」という設定の下、彼女が日々直面する法律問題をご紹介していきたいと思います。  前回、DVに基づく接近禁止命令を申し立てたハミコでしたが、やはり離婚は避けられませんでした。今回は、離婚に際して協議・決定すべき事項について概要を説明します。  

①離婚するか否か:夫妻の一方が離婚を希望し、他方が拒否している場合には、離婚するかどうかが最初の論点になります。協議が整わない場合、日本では、相手による「不貞調和」や「悪意」の遺棄等の事情がないと離婚が認められませんが、カリフォルニア州は「調和しがたい不和」があれば離婚が認められるので、片方が離婚を望めば原則として離婚は認められます。  

②財産分与:日本でもカリフォルニア州でも、離婚時(正確には別居時)には、夫妻が持っている「Community Property(共有財産)」を折半するのが原則です。婚姻期間中に貯蓄したものは共有財産ですが、婚姻前からあった財産や、婚姻期間中であっても相続や生前贈与によって得た財産は「Separate Property(特有財産)」となり、折半する財産からは除外されます。  

③配偶者扶養料(Spousal Support/通称Alimony):別居後、収入が多い方が収入の少ない方に、生活費の一部を負担するものです。日本にも「婚姻費用」というものがありますが、支払は離婚時までです。カリフォルニア州では、離婚後も支払義務が続くものとされており、原則として、婚姻期間が10年未満の場合には婚姻期間の半分、10年以上の場合には無期限とされています。  

④親権(Custody):カリフォルニア州では原則として共同親権ですが、離婚した夫妻が別居する中で、子の日々の生活スケジュール(どちらの下でどれだけ生活するか)を決める必要がありますし、一方がカリフォルニア州外や日本等の国外に連れて行きたい場合の調整も必要なので、激しい議論が繰り広げられることが多い論点です。  

⑤養育費:日本でもカリフォルニア州でも、養育費の支払義務は同様です。どちらでも計算ガイドラインがあり、カリフォルニア州ではDissoMaster等のソフトを使って算出されることが一般的です。   


戸木 亮輔(とぎ・りょうすけ)弁護士 
日本(第一東京弁護士会)、カリフォルニア州、ニューヨーク州弁護士。東京都内で弁護士として約8年間法律事務所に勤務した後、ニューヨーク州のコーネル大学ロースクールに留学。サンフランシスコで勤務弁護士の経験を経て、2024年1月よりKaname Partners US, P.C.を設立、開業。

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