Astro・Ajugaの十二星座占い

宇宙から街、人へ 社会の仕組みをデザインする

2026.08.19

配信

2025年にスタンフォード大学の招聘でベイエリアにやってきた神武直彦さん。JAXAでロケットや人工衛星の設計・運営に携わり、「システムズエンジニアリング」に出会う。小学校の校長も経験したという多彩なキャリアを歩む神武さんに、ベイエリアでの暮らしについて話を聞いた。



ベイエリアに住むことに なったきっかけ

 スタンフォード大学と研究教育の領域で15年以上関係があり、縁あって招聘していただき、2025年9月にベイエリアに参りました。それまでも年に数回行き来していました。

ベイエリアに最初にきた時の印象

 30年ほど前、大学院生として生まれて初めての国際学会発表のためにきたのが最初でした。その数年前に生まれてアメリカにきたときはニューヨークやボストンに行ったので、ベイエリアに来て、広い土地や道路、自然が溢れているのを見て「これぞアメリカ!」と思いました。

ベイエリアの今の印象

 当初の印象と大きくは変わっていませんが、住んでいる皆さんのルーツが世界各地からで、多くの人が温厚で、自然環境とテクノロジーとビジネスが溢れていてワクワクします。一見、普通の街なのに世界的な企業やスタートアップ企業が数多くあるのが面白いです。物価が高くて驚きますが。

あなたにとって、ベイエリアとは

 何を考えても、やってみてもいいんだという雰囲気があるので、常に自分自身の価値観や固定観念を見直すことができる場所のように思います。太陽を浴びて心の底からのんびりもできるので、オンとオフを切り替えられるところが好きです。

どんなお仕事をされていますか

 モノというよりも、仕組みやサービス、つまりコトを生み出すためのデザインに関する研究教育に携わっています。主に大学を拠点にそのことに取り組んでいますが、大学から生まれたスタートアップ企業などと共に、研究成果を事業にすること、また、事業での挑戦を対象に教育研究することなどの活動をしています。以前は、日本で小学校の校長も兼務していたのですが、デザインの取り組みを初等教育で実践するようなことにも取り組んでいます。

専門分野について

 元々はロケットや人工衛星を設計して打ち上げたり運用したりすることに従事していて、学生時代の専攻であったコンピューターサイエンスを専門にしていました。今は、その経験を踏まえて、物事を俯瞰的かつ緻密に扱う学問であるシステムズエンジニアリングを専門としていて、宇宙のシステムのみならず、街や組織といったシステム、コミュニティーのような必ずしも目に見えないシステムも対象にしています。

その道に進むことになったきっかけ

 中学生の頃から現在のJAX Aに入社することや宇宙飛行士になることが夢で、そのことばかり考えて学生時代を過ごしました。幸い、夢が叶って入社することができ、さまざまな宇宙システムの研究開発に関わりました。その中で、大規模・複雑なシステムを扱う考え方を形式知にした「システムズエンジニアリング」という学問に出会い、欧米の宇宙機関では誰もが当たり前に理解しているこの考え方に触れることになりました。そして、慶應義塾が創立150周年の記念事業として、「今の日本に必要な学びは何か?」というコンセプトで開設された大学院システムデザイン・マネジメント研究科に2009年に移籍しました。

子どもの頃になりたかった職業

 祖父がヘリコプター開発に関わる仕事をしており、親戚が南極観測隊員だったので、それなら僕はもっと遠くへ、宇宙へという思いを持ちました。そして、中学生の頃から宇宙開発に関わる仕事をしたいと思っていたのですが、その頃、父が宇宙開発事業団(現JAXA)の会社案内パンフレットを自宅に持って帰って来てくれました。それから大学院生になるまで、そこに入社することが目標になりました。

休日の過ごし方

 思いのほか周りに日本人の方が多く、頻繁に集まりに呼んでいただいています。もちろん、日本人以外の方にもお声がけいただいたりもしますし、家族でワイナリーやドライブに行ったりもします。

ベイエリア、および近郊で好きな場所

 海や山など、いろいろな所にすぐに行けるので、好きな場所が数多くありますが、広大かつきれいで、賑わいが絶えないスタンフォード大学のキャンパスが好きです。

もし、100万ドル当たったとしたら

 行きたいけれど行けていないところが世界各地にあるので、当たったことを口実に、家族や仲間と旅に使いたいです。でも、すぐに使い果たしてしまいそうなので、まずは投資に使うことになるような気もします。

最近日本に戻ったときに感じたこと

 私が学生の頃は日本が世界で最も物価が高い国のひとつで、「日本は値段が高すぎて、外食しておいしいものを食べられない」と言っていた留学生たちにご馳走したりしていたのですが、最近は、スタンフォードで学んでいるアジア各国からの学生が「一時帰国する際には、あえて東京に寄っておいしいものを食べ、クールなものをいっぱい買う」とよく言っています。楽しいことが多くて、その割には物価が安いと思われているようです。私に対するリップサービスかもしれませんが、日本は大人気です。一方、日本に戻ってみると、未来に多くの不安を抱えていて、自信が持てない人や組織が多い気がします。教育が大切だと思うのですが、特に若い人たちの過分な不安を取り除いて、裏付けのある自信が持てる機会を作っていくことが、日本を元気にするためにとても大切だと感じています。

日本へのお土産に持っていくもの

 定番ですがトレーダー・ジョーズのお菓子やバッグはどなたからも喜ばれ、コスパが素晴らしいと思います。あと、スタンフォード大学のブックストアでは定期的に大規模セールをやっているので、その時にシャツやグッズを買いためて持っていきます。これも大人気で、スタンフォード大学の知名度の高さを感じます。

日本から持って帰ってくるもの

 大抵のものは手に入るのですが、質の良い海苔やお菓子、そして、サランラップや調味料などを持って帰ることが多いです。他にスキンケア用品などの購入を頼まれることがあります。

ベイエリア生活で、不便を感じるとき

 物価の高さはやはり無視できないですね。医療費が高く、何か重大な病気や怪我をした際に、場合によっては適切な医療が受けられないのではいかという不安を感じることがありました。また、一時帰国に合わせて日本で数千円で行った歯の治療が、ベイエリアではその100倍以上かかると言われていたので、とにかく健康でいないと大変だと感じています。

永住したい都市

 欲張りかもしれませんが、ベイエリア、東京、そして、タイやマレーシアの離島の3拠点居住などで来たらいいなって思っています。私が大学生だった頃、祖母が沖縄の津堅島というところに移住したので、夏の間はずっとそこに住んでいたりしたのですが、複数の街に居場所があるのはいいなって思います。ベイエリア在住の方もそういう方が少なくない気がします。

5年後の自分に期待すること

 毎日普通に起きて活動して休むことができれば、良い出会いも機会にも巡り会うことができると思うので、まずは心身ともに健康で、周りの人といつも笑っていられることを期待します。

プロフィール

/

Kohtake Naohiko

大学院修了後、JAXAでロケットや人工衛星の研究開発に従事。欧州宇宙機関勤務などを経て、2009年に慶應義塾大学へ。宇宙システムや都市、コミュニティーなど、システムのデザインに関する研究教育に携わる。慶應義塾横浜初等部長(校長)なども歴任。2025年にスタンフォード大学招聘教授として妻、娘、息子と家族と共にベイエリアに移住。

この記事に関連する記事

一覧ページにもどる

share with ups!

新規会員登録

ベイエリアの求人・仕事情報・お知らせ・募集・不動産・個人売買情報はBaySpo!
無料で会員登録をすると、bayspo.comをもっと便利にお使いいただけます。

新規会員登録をする

サクッと読める!
BaySpoとeじゃんデジタル版をチェック!