フリーランスのグラフィックデザイナーとして活躍するかたわら、ボランティアで子どもたちに空手を教えている清水遥さん。子どもの頃に家族と渡米し、その後一人でベイエリアに残ることを選んだという。日本から離れている時間が長くなるほど、日本文化への思いが増していくと話す彼女に、現在のベイエリアでの暮らしについてお話を伺った。
ベイエリアに住むことになったきっかけ
大学の教授であった父がバークレー大学でのリサーチをすることになり、私がまだ子どもの頃に家族で渡米しました。一時帰国後、ハーバード大学付近のマサチューセッツ州に移住、何度か日本とアメリカを行ったり来たりした後、高校生の時に一人でアメリカに残ることを決め、ベイエリアで独立した生活を始めました。
ベイエリアに最初にきた時の印象
アジア人が多く住んでいて日本食が手軽に食べられるので、アメリカのほかのどの場所よりも日本を近くに感じます。
ベイエリアの今の印象
最近では人口が多く物価も高いので、残念ながら年々住みにくくなってきているなか、様々な国の文化を持つ住民が多様性を受け入れ合いながら生活しています。
あなたにとって、ベイエリアはどんな場所?
ベイエリアのテクノロジーとイノベーションの最前線に住んでいることは、間違いなく私たちの日常を豊かにしていますが、私が最も感謝しているのは恵まれた美しい天気と、都会の喧騒から離れ、少し足を伸ばすだけで触れられる壮大な自然です。芸術文化も豊かなので、手軽に素晴らしい美術館、オペラやシンフォニーを堪能できるのも大きな魅力です。

どんなお仕事、活動をされていますか?
フリーランスでグラフィックデザイナーをしています。デザイナーとしてはロゴ、フライヤーやポスターのレイアウトを主に作ります。家で働いているので人との触れ合いを増やすために、サンノゼの日本芸術文化センター(Japanese Art & Cultural Center:JACC)でシリコンバレーで誰もが日本の伝統武道、文化、言語を学べる場所を提供するのを目的に、ボランティアで子どもたちに空手を教えています。生徒たちの心理的な成長と発達を支援し、向上心を高く持ち、お互いの人格を尊重し、誠実で他者への思いやりのある大人になるように貢献していたいと願っています。

その道に進むことになったきっかけ
長い間、アメリカで家族と離れて過ごしているので、日本的なルーツを保ちたいと思ってセンターに伺ったところ、さまざまな伝統武道に参加させてもらったのがきっかけです。そこで、学びながら徐々に教える側に回らせていただくようになりました。日本を離れている時間が長くなるほど、日本の伝統文化の素晴らしさに憧れ、もっと携わりたいといつも思っています。
あなたにとって仕事とは?
社会に貢献し、コミュニティと繋がり、人生の目的を豊かにするツールです。
休日はどんなふうに過ごしていますか?
食べる事が大好きなので、レストランやワイナリー巡りをよくします。週末は主に友達と計画を立てて、旅行やハイキングに行ったり、ホームパーティーを開くことが多いです。写真を撮るのが趣味なので景色の良い所や自然に触れられる所にいつもいたいです。
お気に入りのレストランは
沢山あって選ぶのが大変ですが、よく行くのはサラトガの「Plumed Horse」、バークレーの「Chez Panisse」、サンフランシスコの「House of Prime Rib」、パロアルトの「Sekoya」、 「Ramen Nagi」サンタクララの「Leichi」などです。
日本へのお土産は何を持っていきますか?
日本ではほとんどなんでも買えるので、ベイエリア近郊の製品を集めます。食べ物が多いですね。サンフランシスコのチョコレートRecchiutiやDandilion、ローカルの農場のナッツ、カリフォルニアワインも喜ばれます。
現在のベイエリア生活で不便を感じるとき
交通渋滞には辟易します。人口も年々増加しているので、何をするにも待つのにかかる時間が惜しいです。
日本に郷愁を感じるとき
一番恋しいのは離れて暮らしている家族です。カリフォルニアには季節の変わり目がほとんどないので日本の情緒ある四季が懐かしいです。
おすすめの観光地
アメリカの国立公園はどこも素晴らしいですが、特にイエローストーンとデスバレーをお勧めします。

永住したい都市
大好きなナパやソノマで美味しいワインに囲まれて暮らしたいです。
最近観て印象に残っている
映画
あまり映画は見ないのですが、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか(The Boy and the Heron)』は映画館に観に行きました。ジブリファンでナウシカが一番好きです。
自分を動物にたとえると
猫。いつも一緒にいる最愛の飼い猫と行動が同じだとよく言われます。
座右の銘
「Respect yourself and others will respect you」「Treat others the way you want to be treated」
プロフィール
清水 遙
/
Shimizu Haruka
1984年広島生まれ、福岡経由アメリカ育ち。カリフォルニア、 マサチューセッツ、ネブラスカに住んだのちベイエリアに戻り、サンノゼ州立大学を卒業。グラフィックデザイナーとして仕事をしつつ空手黒帯三段を取得、現在子どものクラスを受け持っている。アメリカ人の夫と愛猫のRaindropとの三人暮らし。