〜桜まつり再び〜
2 桜は日本の象徴。満開の桜の美しさは息を呑みます。一方、ひらひらと散りゆく桜花に移りゆく自然の儚さという変えられない「もの」を鑑賞して「ああ、(はれ)」と嘆息する自然の感情を、本居宣長は「もののあはれ」と呼びました。平安時代の卓越した女性文学者の感受性によって育まれたこの美意識で書かれた作品は、日本人全体の遺産、世界文学の金字塔となりました。
4月6日に行われたクイーン・プログラムに出場していた2024年、2025年のクイーンとプリンセス達には、このような美意識を日本文化より継承し、次世代のリーダーとして公の精神のために飛翔してほしいとの願いをお伝えしました。12日のサンフランシスコ日本町での開会式のあと会場を回りましたが、初日のお昼過ぎというのに人、人、人。参加者の方々が思い思いの日本にまつわる品を並べている出店を見学しました。ウェブスター通りの屋台は各団体の活動資金の大きな収入源となっているとのことで、私もお腹いっぱい食べさせていただきました。
20日のグランドパレードにはルーリー市長も参加、さまざまなコミュニティーのグループも総出で参加し、盛り上げていたことに感銘を受けました。総領事館からは、館員と家族30人ほどが参加しました。市庁舎から日本町まで眩い春光の下、笑い声が街中に響き渡る和気あいあいとした雰囲気の中で歩かせていただきました。沿道からご声援をいただいた皆様ありがとうございました。各国総領事も招待され、並んで観覧席からパレードを眺めましたが、普段の週末の混雑とも比にならない盛り上がりに驚いていました。そして大トリの樽神輿登場! 「お練り」と担ぎ手の「セイヤー」の掛け声と乗り手の雄叫びが春空に響きわたり、最後は観客も担ぎ手も皆が一体となって三々拍子。桜吹雪も神輿に降りかかる祭りの頂点となりました。
EUの代表はとても楽しかったありがとうとのお礼とともに、「神輿は神々しく、沿道の人達皆が笑顔で、コミュニティーの力強さを感じた。日本町がここサンフランシスコにあり、コミュニティーが繁栄しているのは素晴らしいことだ」との言葉がありました。桜祭りを続けていることの意義を表してくれた賛辞として、皆さまにお返ししたいと思います。
在サンフランシスコ日本国総領事 大隅 洋(おおすみ・よう)
1966年生まれ。東京大学経済学部卒業後外務省入省。経済安全保障課課長、在英日本大使館公使、在イスラエル日本大使館次席公使などを歴任。COVID19期間中は東京にて大臣官房審議官等を務める。2023年9月、在サンフランシスコ日本国総領事として着任。茶道を嗜み、旅行、読書、マリンスポーツを愛好。著者に「日本人のためのイスラエル入門」(筑摩書房)。
領事館のホームページでは、
総領事の活動報告
「総領事便り」を掲載しています。
コチラよりぜひご覧ください。