〜「外」助の功〜
私の妻の操(みさお)はハキハキと分かりやすく喋り、人の心を掴む、私よりよっぽど外交官らしい「ベター・ハーフ」で、当地でも交友を広げ、日本のためそしてコミュニティのためにさまざまな活動をしてくれています。一端をご紹介すれば、例えば昨年12月には各国総領事館の配偶者達のグループ(LSFCC)をサンフランシスコ日本町ツアーに連れて行き、ツアーを組んでいただいて、町中を一緒に練り歩きました。妻の手書きの地図を片手に、何人かは家族とその後再訪したそうです。
また、いけばなインターナショナル北加支部は毎月無料で会を催していますが、今年1月の支部開設65周年記念行事に20名近くのLSFCCメンバーを連れて行き、主催者からも感謝されました。3月には地元の由緒あるガーデンクラブから協力を依頼され、小原流と草月流の先生による競演をアレンジしましたが、二人の先生が隣同士に立ち、同じ素材の草花を元に生ける光景、出来上がった作品の美しさに米国人出席者からため息が漏れていました。歴史関係では、昨年から今年にかけ、プレシディオにある戦前の米陸軍の日本語話者養成学校跡地のセンターに地元中学生とLSFCCのメンバーを、サンノゼの日系アメリカ人博物館には、総領事館員の家族とLSFCCのメンバーを連れて行きました。
私は常々、今の日本人の当地での生活は、日系人の歴史の上にあることを皆に知ってもらいたいと思っているので、自分の職場の家族を妻が連れて行ってくれたのは特に有難かったです。また、女性というつながりでは、女性会員制の由緒あるメトロポリタンクラブで、妻が当クラブと領事団の縁を作った際に依頼され、今年1月に「総領事館ナイト」の第一回を日本で引き受けることとしました。せっかくなら「気張ろう」と妻もがんばり、食事前のカクテルタイムでは日本酒と焼酎のブースを設置したところ、人だかりができる人気ぶり。
クラブ側の日本大好きシェフと相談した趣向の凝らした食事に、ワインも当地日本人醸造家のものを出し、 「日本」の良い発信機会となりました。なお昨年5月、AAPIヘリテージ月間に公邸でレセプションを開催しましたが、全アジア総領事夫妻が勢揃いし、妻の働きかけで女性陣達が全て民族衣装で参加してくれとても華やかな会となりました。私の当地での活動が有意義なものであるとすれば、妻の「外」助の功のおかげだと思っています。
在サンフランシスコ日本国総領事 大隅 洋(おおすみ・よう)
1966年生まれ。東京大学経済学部卒業後外務省入省。経済安全保障課課長、在英日本大使館公使、在イスラエル日本大使館次席公使などを歴任。COVID19期間中は東京にて大臣官房審議官等を務める。2023年9月、在サンフランシスコ日本国総領事として着任。茶道を嗜み、旅行、読書、マリンスポーツを愛好。著者に「日本人のためのイスラエル入門」(筑摩書房)。
領事館のホームページでは、
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