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アメリカの法律 In-and-Out Vol.02

2024.03.13

配信

ハミコ、移住の洗礼を受ける! の巻

皆さまこんにちは。戸木です。今回からは、「ハミコ(仮名)、アメリカに来る」という設定のもと、彼女が日々直面する法律問題を紹介していきたいと思います。  

生まれも育ちも神戸のハミコ、縁あってアメリカ市民と結婚して、カリフォルニアに移住することになりました。海のある街が大好きです。当初は、ESTAで夫の家に転がり込んでしまえばどうにかなるだろうと思っていたようですが、弁護士からの忠告を受け、婚約者ビザ(K-1)を申請して渡米してきました。ESTAはあくまで短期滞在が目的の方向けのVISA免除プログラムなので、渡米時に「短期滞在と言いながら永住しようとしている」と判断されてしまうと、入国拒否を受けることになりかねません。賢明な判断でした。  

しかし、万全を期して渡米したハミコにも、思わぬ落とし穴がありました。ハミコは、渡米した半年後に友人の結婚式に参列する予定だったのです。渡米してすぐに永住権を申請したものの、待てど暮らせどカードが届かない。どうやら届くまでには1年以上かかっている様子であること、永住権申請中にアメリカを出国すると、申請を放棄したとみなされて申請が却下されることを知ったハミコは、渡航許可証(Advance Parole)の存在を知りました。ところが、渡航許可証を申請しても、受領するまでに6か月程度はかかると公表されているではありませんか。友人の結婚式を再来月に控えたハミコ、永住権の再申請の大変さと天秤にかけ、結婚式参列は見送ることにしたのでした。とほほ…。  

ビザと一言で言っても、種類によってビザの有効期間と滞在可能期間が異なる点にはご注意ください。K-1ビザでいえば、有効期間は6か月(ビザ取得から6か月以内であればアメリカ入国が可能ということ)、滞在可能期間は90日(たとえビザの有効期間内であっても、入国後90日を過ぎると不法滞在になるということ。

ただし、90日以内に永住権の申請をすることにより、別の滞在資格が付与されることになる)とされています。紙面の都合上、細かい説明は割愛しますが、ビザの有効期間はビザ自体に記載がありますし、現在の滞在資格はI-94(オンライン)で確認できますので、必ず注意を払っておくようにしましょう。

 

戸木 亮輔(とぎ・りょうすけ)弁護士 
日本(第一東京弁護士会)、カリフォルニア州、ニューヨーク州弁護士。東京都内で弁護士として約8年間法律事務所に勤務した後、ニューヨーク州のコーネル大学ロースクールに留学。サンフランシスコで勤務弁護士の経験を経て、2024年1月よりKaname Partners US, P.C.を設立、開業。

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