米国西部3州に広がる「日本への期待」
米国西部の州政府による日本との連携強化が、2025年を通じて加速しています。背景には、エネルギー転換や先端技術分野での協力を求める動きと、日本企業の高い信頼性があります。今回は、ワイオミング州、モンタナ州、ワシントン州の最新動向を共有します。
ワイオミング州
エネルギー分野での日本との連携
資源州ワイオミングは、今年4月にゴードン州知事が訪日し、ニューメキシコ州のグリシャム州知事とともに、ジェトロ東京本部で米国西部エネルギー・ビジネスセミナーを開催しました。テーマは石炭・原油・天然ガスやCCUS(炭素回収・貯留)、再生可能エネルギー。6月には州政府主導でジレットにて「Wyoming - Japan Energy Summit」を実施し、州知事に加え、州議会議員も参加。さらに11月には州都ララミー市にて、在デンバー日本総領事館と連携した日本関連イベントを開催。ゴードン州知事とコックス・ユタ州知事が参加するなど、年間を通じて日本企業との接点を増やしています。ワイオミングは資源・エネルギーだけでなく、米国内でも炭素管理の先進州であり、日本の技術や投資を取り込むことで、化石燃料依存からの脱却を図っています。州政府は「日本企業との協業は、エネルギー転換の実現に不可欠」と強調しています。
モンタナ州
量子・フォトニクスで次の一手
10月、ジアンフォーテ州知事が来日し、ジェトロ東京本部でセミナーを開催しました。テーマはフォトニクス、量子技術。モンタナ州は大学や研究機関を核に、量子関連スタートアップの育成に力を入れており、日本企業との共同研究や投資を強く求めています。参加した日本企業からは、「高度な技術力と自然環境を生かした柔軟なビジネス環境に魅力を感じる」とのコメントが寄せられました。
さらに、州政府は日本企業向けに「モンタナ州現地視察ミッション」を要望。日本企業にモンタナの研究拠点や産業クラスターを直接見てもらうことで、具体的な協業案件の創出を目指します。米国西部の中でも、モンタナ州はハイテク分野での存在感を高めつつあり、日本との連携はその成長戦略の要となっています。
ワシントン州
IT・水素で深化する交流
ワシントン州は、2022年に日本政府との経済協力MOUを更新し、交流を継続的に拡大しています。今年9月には「Japan - Seattle AI Innovation Meetup 25.0」を開催し、AI・ライフサイエンスのスタートアップ9社と日本企業のネットワーキングを実現。10月にはICT関連企業9社が日本に渡り、ジェトロ東京本部でピッチイベントを実施しました。その後、ミッション参加者は、幕張で開催されたジャパンITウィークに出展し、日本市場を調査するとともに、自社の製品・サービスをアピールしました。
さらに、11月にはジェトロ・サンフランシスコがワシントン州政府と連携して、水素関連のビジネス環境視察ミッションを派遣。13社18名が参加し、水素関連機関と意見交換するとともに、水素トラックや水素航空機各社を視察しました。トランプ政権による水素ハブ補助金の打ち切り報道があったものの、州政府は「水素は脱炭素の鍵」として取り組みを継続。日本企業との協業を通じ、サプライチェーン構築を加速させる方針です。
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「戦略的パートナー」
3州に共通するのは、日本企業への高い信頼と、長期的な協力を前提とした戦略的パートナーシップの構築です。米国西部はエネルギー転換、量子・AI、ライフサイエンスなど世界をリードするポテンシャルを持ち、日本は技術力と安定した投資基盤を提供できます。両者にとって、単なる輸出入を超えた「共創」のチャンスが広がっています。
小林 努(こばやし・つとむ)
日本貿易振興会入会後、松江、シンガポール、東京本部などで中堅・中小企業の海外展開を支援。2023年8月よりサンフランシスコ着任。米国スタートアップの日本進出、米国企業と日本企業の協業・連携支援を担当。
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