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シリコンバレー発ビジネス最前線

2026.07.01

配信

2026年の折り返し地点から

 早くも2026年も、折り返し地点を迎えた。本コラムでも、本年1月のCESにおける動向からはじまり、ロボティクスなど先端分野の動き、また、対米投資動向などをテーマに米国における動向を紹介してきた。今回は、こうした今年前半の動きを振り返りつつ、今後の注目点を見ていきたい。

AI・半導体等先端分野での日米協業の動き

 今年前半も、日米両政府による、半導体、エネルギー、先端製造業、インフラなどの戦略分野を中心とした、総額5500億ドル規模の投資協力枠組や、グローバルでのサプライチェーンの強靭化などを背景に、先端分野を中心とする日本企業による対米投資や日米企業連携が進展した。

 各州政府も、こうした流れを受けて、日本企業との連携・投資誘致に、引き続き、強い関心を寄せている。昨年の夏以降、この1年でも、当事務所が所掌する8州のうち、3州の知事(オレゴン州、モンタナ州、ワイオミング州)が日本企業との協業・投資誘致のためのミッションを引き連れて訪日し、量子・半導体・エネルギー分野など各州の関心領域を中心に、企業訪問を積極的に行っており、日本に対する関心の高さが伺える。

 カリフォルニア州においても、引き続き、日米協業あるいは日本企業の進出の動きが堅調となっている。カリフォルニア州政府が先日公表した「Foreign Direct Investment」によれば、2026年、日本は、カリフォルニア州における雇用創出国・地域ランキングで首位に返り咲き、3501の事業所で13万8人の雇用を創出しているとされている。これは前年比で約2900人の増加となっており、南カリフォルニアがその中心とはいえ、引き続き、カリフォルニア州において、日本企業による投資は大きな存在感を発揮している。

 当地シリコンバレーでも、別稿でご紹介したとおり、今年に入り、半導体後工程分野の共同開発の研究施設の開所や、フィジカルAI分野での協業研究施設の創設などの先端分野での日米協業の力強い動きが見られた。今年のCES2026でも、フィジカルAIが大きく取り上げられたが、言うまでもなく、AIとフィジカルの融合・社会実装を進めるにあたって、製造現場を多く有する日本企業は、課題抽出・試験研究など多くのプロセスで強みを有する。シリコンバレーは、両者の強みの擦り合わせ・協業の最前線にあるとも言える。

 ジェトロとしても、日米協業支援の枠組として、「J-Bridge」を通じたビジネスマッチング等を展開しているが、2026年後半も、当地で開催される展示会などにあわせて、先端分野での日米協業を促進するためのネットワーキング機会の提供など、積極的に事業展開を行っていく予定である。ローカルのスタートアップの探索や協業などにご関心の方がいらっしゃれば、ぜひ当事務所までお声がけいただきたい。

 今年後半は、11月に米国中間選挙も控える。下院の全435議席、上院は3分の1の35議席が改選されるほか、中間選挙投開票日には、39州で州知事選が行われる。カリフォルニア州を始めとして多くの州で、知事改選が見込まれるが、日本は、多くの州において、投資・雇用を通じて米国経済に大きく貢献している。ジェトロとしても、引き続き、日本企業の貢献を発信し、企業の事業活動への理解と支援、事業環境整備を求めていきたい。

コンテンツ・食・イノベーションの総合発信のポテンシャル

 イノベーションからは少し外れるが、注目点として、漫画・アニメ、音楽といった日本のコンテンツや食などを核とした「日本」の魅力発信にも触れたい。

 今年3月には、毎年テキサス州オースティンで開催される「サウスバイサウスウエスト(SXSW)」を訪れる機会があった。もともと、音楽・映画から出発した展示会だが、近年では、テクノロジーやスタートアップも含めた分野融合の展示会へと成長している。今年は、ジェトロヒューストン事務所が、日本発の食・音楽・イノベーションを発信するイベントを主催し、日本人アーティストによるアコースティックライブにはじまり、AIやフードテックを手掛けるスタートアップによるピッチセッション、最後に、北米で展開する日本発の炙りスタイルの押し寿司や日本酒テイスティングなどを実施した。イギリスやドイツ、アルゼンチンなど各国が競って自国のカルチャーや技術を展示する中、わずか3時間あまりのイベントではあったが、訪問者が途切れることなく、日本の魅力とも言えるコンテンツ・食・技術の総合発信の大きな可能性を、改めて垣間見ることができた。

 ジェトロは、中堅・中小企業の輸出支援として食やコンテンツの海外展開支援、そして、スタートアップ支援等イノベーションの支援など、広く貿易・投資を促進する機関として、日本の成長領域の多くの分野の海外展開を支援する役割を担っている。これらの分野を融合し、「日本」の魅力を総合的に発信していく方法も、引き続き、検討していきたい。


渡邊 佳奈子(わたなべ・かなこ)
1998年経済産業省入省。入省後、産業組織法制(LLP法制定)、APEC、東南アジア諸国との二国間関係、コンテンツ産業振興政策、知的財産政策等に携わった後、2025年7月より、ジェトロサンフランシスコ事務所所長。



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