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あなたの「今」が輝くために−其の百四十一

2024.07.03

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 最近、新しいアパートに引越しをした友達が、面白い話をしてくれました。部屋にいると時々、どこからともなく音がする。長くは続かないが、一瞬でもなく、連続して聞こえることもある。しかも音がするのは夜が多い。朝早くの時もある。まさか幽霊でもあるまいが、気になって仕方がない。それだけでなく、音がうるさくて寝られない。一体どこから音がしているのか? 何の音なのか? 音がするたびに、その正体を突き止めようと2LDKの部屋中を探しまわったそうです。

 原因。それは1階にあるガレージの、車用エレベーターが動く音だったとか。友人が笑いながら言ってくれました。原因がわかるまでは気になって寝られなかった。不眠が続いていたのに、原因がわかった途端、どんなに大きくエレベーターの音がしていても、ぐっすりと寝られるようになったと。

 この話を聞いて、とても象徴的だなと思いました。何が象徴的かというと、私たちの意識です。答えがわからない時は問いがあります。なぜ? なぜ? と、問いが次々出てくるのに、答えが出たと思うと考えることをやめてしまう。本当は、なぜ音が響くのか? 他の部屋にも聞こえているのか? などなど、問いはいくらでもあるのに、です。答えを握ってしまうと、もうそのことに対して考えない。そして考えていないことにも気づかないのです。

 これは良し悪しの話ではありません。けれども人に対しても同じではないでしょうか? あの人はこういう人だからと、ある種の答えのようなものができると、そこから先、考えることが止まってしまいます。考えようともしません。「あの人はこういう人」と、自分が決めた人として接し続けるのです。これは他人に対してだけではありません。自分自身に対してもそうですし、あらゆる物事にいえます。例えば、お浄土。死んでから良い人だけが行ける良いところ。そんなイメージはないですか? そもそも、仏教徒でもないし、お浄土には興味がないという方がほとんどだと思います。でも、ちょっと待て! です。もったいない! お浄土は、そんな場所ではありません。ということで、私の最新刊『浄土の歩き方 ― 行きたいと思ったときに来てくれるのが阿弥陀の国!』で、ご一緒に浄土の旅へ出かけませんか。Kindle版もありますよ!


写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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