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人格障害について -寺尾先生-

2025.11.19

配信

人格障害について


 人格障害(Personality Disorder)とは、人間関係やストレスへの対応の仕方に特徴があり、本人やまわりの人たちに多大な悪影響を与える障害です。「人格」という名前のとおり、長期にわたって続きます。児童期でも傾向が見られることもありますが、パターンとして診断が可能なのは青年期以降です。青年期以降は複雑な人間関係を自分で構築するようになるために特徴が現れやすいことと、人格が安定する過程でパターンがみえてくることが理由です。

 診断される人格障害は10種類あります。共通する特徴として、考え方や受け取り方のゆがみ、他人との関係の問題、自己評価の偏りや不安定さが挙げられます。人格障害自体を治す薬はありませんが、共存症状であるウツ、不安感、不眠を和らげる薬がつかわれます。また、心理セラピーでは、自身の考え方や感情処理や行動を理解して、良い方向に変えていくように働きかけます。

 有名なものとして、境界性人格障害(Borderline Personality Disorder)が挙げられます。主な症状は、① 感情の波が強く非常に不安定、② 人間関係の不安定さ、③ 見捨てられることに対しての非常に強い不安、④虚無感、⑤ 強い衝動性、などです。相手に対する思い込みが強く、裏切られたり嫌われると感じると非常に怒ったり自分から離れたり衝動的に行動したり、自殺未遂をすることもあります。強く不安定な感情の波にのみこまれ、本人も家族も非常に苦労します。

 反社会性人格障害(Antisocial Personality Disorder)とは、自分の利益のために、他人の権利や法を無視して行動する障害です。他人への共感や良心の呵責に欠け、相手の苦しみに無関心、強い衝動性をもって行動します。犯罪行為を起こすこともあり、法とは切っても切れない関係が続くこともよくあります。

 人格障害の原因ははっきりしていませんが、遺伝と環境の両方が関係していると考えられています。セラピーを通して、考え方や認知の歪みを認識して改善し、行動を変えていくことが大切です。 


寺尾 明希子(てらお あきこ)心理療法士

カリフォルニア州公認心理療法士、臨床ソーシャルワーカー。サンフランシスコ大学で心理学の学士号、心理学の修士号、社会福祉保健学の修士号を取得。現在はサンフランシスコ、ベイエリアで、対面とオンラインの両方で心理セラピーとコンサルテーションを提供。専門は、うつ、不安、人間関係の問題、摂食障害。家族機能不全から発生するさまざまな症状を扱う。また、問題を抱える人の家族向けのコンサルテーションも行う。

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