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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.20

2022.11.04

配信

SFから落語を普及する

 太平洋を挟んでベイエリアの向こう側の静岡県焼津市に3カ月ほど滞在しています。充実した図書館のそばで、落語の歴史を僕の視点で捉え直し、また現代的な視点も交えつつストーリーを書いています。今回は英語で、古典落語『死神』の舞台を1930年代のニューヨークに設定していますので、時代背景やアメリカ史をもう一度おさらいしました。大学受験では世界史を選択しましたが、25年も経ってほとんど忘れています。アメリカの歴史も学びましたが、第一次世界大戦後の世界の動きや1920年代のアメリカの好景気から大不況に至る流れも、直接的なセリフには少ししか関係ありませんが、考証しました。

 舞台はニューヨークでありつつ、第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和条約や日系移民への迫害の歴史を知るにつれ、これまでベイエリアで日系の社会を築かれた先人に心から感謝と尊敬の気持ちを抱きます。それはベイエリアだけではありませんが、今おいしく食べているカリフォルニアでできた日本米の改良の歴史等、僕たちが受けている恩恵はあまり東海岸でも、日本でも知られていないように思えます。日本に一時帰国しテレビをつけると情報番組では、ニューヨークの司法試験がどうの、物価がどうのばかり。そしてテック関係になると一様にシリコンバレーの名前が出るだけ。僕の実感としては、ベイエリアの日本人コミュニティーはニューヨークのそれに比べて強いと思います。それは僕が作ったRakugo Association of America の「ざぶとん亭一門」がベイエリアでニューヨークよりも根付いてきていることからも感じます。大都市であり、近辺にシリコンバレーという先端都市がありつつ、豊かな自然に恵まれている。温泉がある。なぜ僕はニューヨークを選んだんだと、たまに不思議に思います(笑)。

 僕が今読んでいる本の著者・鈴木俊隆和尚が作った禅センターもサンフランシスコから始まり、今では世界の文化として受け入れられています。僕も落語を世界標準のエンタメにするために「落語」としても「Rakugo」としてもアメリカでの普及に尽力しています。その成果を皆さまに12月10日(土)の夕方(4時)に「第二回バイリンガル落語会」としてオンラインで全世界に日本語と英語で配信します。ベイエリア在住の「ざぶとん亭て魔り」が落語デビューします。落語がサンフランシスコで始まった禅の世界普及のように育っていくよう活動してまいります。皆さま、落語をお楽しみくださいませ。


柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴23年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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