ローカルニュース毎日配信!

ラーメン厨房徒然草 - きたやまはじめ -  特別寄稿

2024.09.18

配信

  - 特別寄稿 ラーメンと酒と経営と-  

アメリカでラーメン業界に携わって18年。つくづく思うのは「ラーメンに合う酒ってないよな〜」ということ。ビール、日本酒、ワイン、どれも合わなくはない。けれど、「ギョーザとビール」という相性の良さに匹敵するほどではない、という感覚は私だけではないでしょう。でも、アメリカの人たちの多くは「ラーメンと言ったら絶対ビールだよな!」という感覚であるらしいのが興味深いところです。  

かつてサンディエゴのラーメン店にいた頃、まわりのラーメン屋さんがどこもたくさんの生ビールを置いていました。ラーメンという食事は、日本人的にはサッとすませる感覚ですが、アメリカ人にとってはわざわざ食べに行く「ごちそう」。だからビールを飲みながらゆっくりと味わって食べる、ということかと思いました。そこで私の店でも生ビールを22種類並べてみると、1種類だけの時は売り上げの5%にすぎなかった生ビールの売上比率が、4倍ほどまで伸びました(ただし滞在時間も長くなるので、よほど広いお店でなければここまで種類を増やすのはやめたほうが良いかも…)。アメリカンIPAやHazy IPA、Sour Wrench などさまざまなビールを揃えましたが、結局のところ生ビールの売り上げの半分を占めたのはサッポロ&アサヒでした。「日本の料理屋さんに来たら日本のビールを飲みたい!」と考える人が多いのでしょう。もっと言えば、それは「相手のカルチャーのことを知ろう、体験してみよう」というマインドをお持ちの、ありがたいお客様たちに違いありません。  

先日、サニーベールにあった日本人経営のShaKa Brewingさんが閉店というニュースを耳にし、とても残念に思いました。オーナーの方は、閉店するべきかすごく迷った、と言っておられました。もちろん今さら自分に何ができたわけでもありません。それでも、もっと早くいろいろお話をしたかった、と強い後悔を感じました。私は、ラーメンという食文化をアメリカに伝える、という仕事に携わり20年近く。倒産危機の場面も多々ありながら(汗)、飲食店経営者として歩んできました。優れた経営手腕などありませんが、これまで積み重ねてきた失敗談や経験を、誰かのために役立てられたら… という想いもあります。 

もしも飲食店経営でお困りのことがあったり「少し話してみたい」という方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽に声をかけていただきたいです。話すことで別な視点が生まれたり、スッキリすることもあります。私自身、そうやって助けられてきました。なにか一緒に頑張ることができたらいいな、と思っています。

きたやまはじめ
1994年カリフォルニア州立大学サクラメント校卒業。2020年ラーメンハジメ創立。9種類の切刃を保有するなど製麺所並みの製麺設備を持ち、自家製麵と自家製スープでマリアージュラーメンの提供をめざす。

この記事に関連する記事

一覧ページにもどる

share with ups!

新規会員登録

ベイエリアの求人・仕事情報・お知らせ・募集・不動産・個人売買情報はBaySpo!
無料で会員登録をすると、bayspo.comをもっと便利にお使いいただけます。

新規会員登録をする

サクッと読める!
BaySpoとeじゃんデジタル版をチェック!