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2024.09.04

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2024年上半期における日本の輸出実績について

2024年上半期の 日本の貿易収支  


日本の財務省が8月に発表した国際収支速報によると、日本が海外との貿易や投資などでどれだけ稼いだかを示す経常収支は、2024年上半期(1~6月)で12兆6817億円で、前年同期値と比較すると4兆7148億円の増加となり黒字幅が拡大した。理由としては、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支と輸送や旅行などを含むサービス収支で、共に赤字幅が縮小したことなどが挙げられる。

貿易収支は2兆6118億円の赤字で、前年同期値と比較すると2兆5702億円の赤字幅が縮小し、輸出額で見ると50兆6068億円で前年同期値と比較して3兆1694億円の増加となった。商品別では自動車(前年同期比+1兆444億円[+13・9%])や半導体等製造装置(前年同期比+4204億円[+24・2%])が伸び、主要地域別では、対アジア(前年同期比+2兆1630億円[+8・7%])、北米(前年同期比+1兆4309億円[+14・6%])等が増加した。一方、輸入額はロシアのウクライナ侵略で高騰していた石炭や液化天然ガスなどのエネルギー価格が落ち着き、53兆2185億円と前年同期値と比較して5992億円の増加で、輸出額の増加が輸入額の増加を上回る形となった。

[参考]原油価格
① ドルベース:85・72米ドル/バレル(前年同期比▲0・0%)
②円ベース:8万1218円/キロリットル(前年同期比+12・5%)  


また、サービス収支は、1兆7511億円の赤字だったが、前年同期比+3177億円と赤字幅を縮小した。これは、訪日外国人旅行者数が1777万7200人と前年同期比+65・9%となったことも影響し、旅行収支が黒字幅を拡大したことなどが要因として挙げられる。

 農林水産物・食品の輸出額


同じく8月に農林水産省が公表した2024年上半期の農林水産物・食品の輸出額は、7013億円となり昨年同期値と比較すると132億円[1・8%]の減少で、上半期としてはコロナ禍だった2020年以来4年ぶりの減少となった。中国および香港において、昨年夏の福島第一原発のアルプス処理水放出への反発による日本産水産物の輸入規制を続けている影響もあり、ホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍等)は前年同期比▲37%の240億円、なまこ(調製)は▲47%の55億円と大幅に減少し、全体で見ると中国への輸出額は▲43・8%、香港向けは▲10・5%となった。一方で、中国および香港以外の国・地域を合計した場合は+14・3%と増加している。

特に欧米では昨年上半期と比較しインフレが緩和され、アジア向けも含め外食需要や、小売店・EC向けの販売も堅調だったことに加え、円安により海外市場での競争環境が改善し、農産物の多くの品目で輸出額が伸びている。国・地域別の輸出額においては、1位アメリカ(1156億円、前年同期比+19・9%)、2位香港(1032億円、前年同期比▲10・5%)、3位中国(784億円、前年同期比▲43・8%)で、1位のアメリカは輸出額の増加幅が一番大きく+192億円と、二番目に増加幅の大きかったベトナム(+72億円)の2・5倍以上となり、主な増加品目はホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍等)、日本酒、ソース混合調味料などであった。また、全体の品目別でみると、輸出額の増加幅が一番大きかったのは、ソース混合調味料(前年同期比+54億円、+22%)で、日本食の普及に伴う欧米を中心とした多種多様な調味料、日本式カレー、日本製マヨネーズなどの需要が堅調であった。緑茶(前年同期比+43億円、+37%)も、欧米を中心とした健康志向の高まり等を背景に、抹茶など粉末茶の需要が増加し二番目の増加幅となった。その他、米(前年同期比+14億円、+33%)、清涼飲料水(前年同期比+12億円、+4%)、菓子(米菓除く)(前年同期比+8億円、+6%)などでも増加幅が大きく、いずれもアメリカを中心とした需要の高まりが主な要因であった。  

今回の結果からは、中国向けの輸出は大幅に減少した一方で、それ以外の国での輸出実績は増加していることが分かり、日本は中国などの特定の地域に依存した輸出構造ではなくなりつつあるといえる。これは、国として輸出先の転換・多角化を進める取組みを実施していることも要因といえ、私たちジェトロも世界各地に所在する海外事務所から、各地域の現状や市場のニーズを国内へ情報発信するなどして、専門的でかつ継続的な輸出事業者への支援を行うことでその一助を担っている。また、日本政府は農林水産物・食品の輸出額について、2025年までに2兆円、20、30年までに5兆円に拡大する目標を掲げており、引き続き政府機関や民間企業などと連携し、より多様な国への輸出や既存の輸出ルートの拡大を支援することで、目標達成に向けた取り組みを進めていく。

長洲 諒(ながす・りょう)
2017年茨城県庁入庁。2022年より営業戦略部グローバルビジネス支援チームにて県産品の輸出支援を担当した後、2023年4月にジェトロ茨城事務所に出向となり、県内のスタートアップ支援を担当。2023年10月より現事務所にて日本産品の輸出支援を担当。

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