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2024.06.05

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スマートフォンを使った、非接触でバイタル測定

スタンフォード大学で水素イベント  


CES 2024での展示やニュースでも紹介され、注目を集めている非接触のバイタル計測ソリューション。スマートフォンやiPadから手軽に健康状態の計測・記録が可能で、日々の健康管理への関心や、予防医療の重要性の高まりもあり、バイタルサインモニタリング市場向けに注目されています。ここでは、スマートフォンなどを使った、非接触型でバイタルサイン測定する製品をいくつか紹介してまいります。  

非接触型は、従来の接触型デバイスと比較して次のような点が優れています。

①利便性 特別なセンサーやデバイスを必要とせず、スマートフォンやPCのカメラを使用可能。
②快適性 非接触のため、ユーザーの快適性が高い。
③リアルタイム性 迅速にデータを取得し、リアルタイムで解析結果を提供可能。

 非接触でバイタルサイン・パラメータを測る方法  


まず、非接触でどのようにして、顔からバイタルサイン・パラメータを測るのでしょうか。詳しいことはここでは省きますが、一つの方法として、経皮光学技術イメージング(Transdermal optical imaging)があります。デジタルビデオカメラを使用して、顔の皮膚が半透明である特性に目をつけ、皮膚を透過する光とスマートフォンの光学センサーを用い、ヘモグロビン濃度を測定することで顔の血流を検出します。スマートフォンで撮影した顔の動画から、機械学習ソフトウェアが血流のわずかな変化を解析、皮膚の下のヘモグロビン変化や、さまざまなデータをとらえます。

製品を提供している企業


●Nuralogix(www.nuralogix.ai)
概要 CES 2024でも発表され注目を集めた、2015年にカナダのオンタリオで創立されたNuralogix。FDA申請中で、今年中にアメリカでの販売を開始予定。小売業者、ジム、学校、企業、建設会社、老人ホーム、薬局、医師のオフィスなどの業界パートナー向けを想定しているとのこと
製品 「Anura MagicMirror」:スクリーンデバイスのカメラから、顔の血流情報を機械学習AIアルゴリズムを使用して分析する。さまざまなバイタルサインを正確に測定し、身体的および精神的健康評価をし、疾患リスク評価を実施。スクリーンの前に座って30秒で結果がわかる
解析可能データ 脈拍・呼吸数、血圧、不整脈、T2糖尿病リスク評価、そしてストレスレベルなど100以上の健康指標を測定

●Binah.ai(www.binah.ai)
概要 光学的顔分析技術を使用し、スマートフォンやタブレットのカメラを通じてバイタルサインをリアルタイムで測定
製品 健康とウェルネス向けのバイタルサインモニタリング市場に提供。テレヘルス(遠隔医療)プロバイダーや企業のウェルネスプログラムに採用ずみ。FDAの認可に向けて対応中
解析可能データ 血圧、心拍数、心拍数変動、呼吸数、酸素飽和度(SpO2)、ストレスレベル、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、および転倒検出など

●FaceHeart(faceheart.com)
概要
 同社は2018年に設立され、本社は、台湾の新竹市。独自のビデオベースの非接触型のバイタルサイン測定技術を使い、バイタルサインをチェック、測定
製品 FDA/CEの認証済み
解析可能データ 心拍数、心拍変動、血圧、呼吸数、血中酸素飽和度 (SpO2)、ストレスレベル、精神的および感情的な状態の評価 研究している企業や大学

●NEC
概要 NECの生体認証ソリューション「Bio-IDiom」のコア技術である、顔認識技術に基づいて開発した「Face & Facial Parts Monitoring System」をCES 2024にて参考出展。スマートフォンカメラを介して非接触分析を可能にする顔認識技術に基づき、顔の各部分の解析システムが特徴。眼球運動と瞳孔反応の複合分析、毎日の健康の簡単なモニタリング、異常徴候の早期発見などの分析機能がある

●トロント大学 (University of Toronto)
概要 顔の光学的な血流解析に関する研究。Nuralogixを通じて商業化後も技術の精度向上、新しいバイタルサインの測定、そして応用分野の拡大(例 メンタルヘルス評価、スポーツ科学など)の研究を継続

 ●マサチューセッツ工科大学(MIT)
概要 Computational Imaging Group (研究段階) コンピュータビジョンと光学イメージング技術を統合し、顔の微小な色変化を解析することでバイタルサインを取得

 ●カーネギーメロン大学 (Carnegie Mellon University)
概要 顔認識技術や生体認証技術の研究の一環として、顔の光学的なデータを利用したバイタルサイン測定技術の研究
解析可能データ 心拍数、呼吸数、体温、血圧、血糖値  そのほか、東京理科大学でも顔の光学的な血流解析からバイタルデータを取得する技術に関連する研究が行われているようです。  

いかがでしたか。実際に私も、CESのNuralogixのブースで、バイタルデータを測定してもらいましたが、スクリーンの前に座り、30秒で、簡単に100個近くの健康指標をチェックできて、今後への可能性を感じるものでした。これからも、引き続き、ウエアラブルデバイスも含め、非接触のバイタル計測ソリューションの動向を注視していきたいと思います。


冨田 裕司(とみた ひろし)
米国シリコンバレーに駐在18年にわたり、日本企業のR&D会社の代表を務める。2017年5月日本貿易機構(JETRO)と国立情報学研究所(NII)の共同事務所・シリコンバレーオフィス設立に伴い、NIIオフィスRepresentative、JETRO/Directorに就任。熊本県出身。

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