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あなたの「今」が輝くために−其の百四十三

2024.09.04

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オリンピック

 みなさんこんにちは、パリオリンピックはご覧になっていました? 今回の大会、ドキッとさせられたことが何度かありました。ドキッとさせられたというより、辛いなぁと思ったのが正直なところです。

 例えば、卓球の張本智和選手です。団体準決勝で、スウェーデンに2‐0とリードしていたにもかかわらず、2‐3と逆転負け。張本選手自身は第2試合で勝利を収めていましたが、2‐2で迎えた最終第5試合にも出場し、敗れます。泣き崩れた彼は、試合直後のインタビューで「死んで楽になるなら死にたい。こんな思いするくらいなら…」と答えています。憔悴しきった姿から、極限の状態で試合をしていたのだと、こちらまで苦しくなりました。

 そしてもう一人、競泳の池江璃花子選手です。白血病から復帰して臨んだ女子100mバタフライの準決勝で敗退、決勝進出を逃します。レース後のインタビューでは、「これまでの努力は何だったんだろう。なんのために今日まで頑張ってきたのだろう」と答えています。思わず、あぁ、辛いなぁと思ってしまいました。

 池江選手は拠点をオーストラリアに移してオリンピックに備えたそうですが、張本選手も、そして他の選手の方々も人生のすべてをかけて試合に臨んでいます。目指すのは勝利であり、その勝利というゴールに向けて努力に努力を重ねています。だからこそ、負けた時には池江選手のように、努力が無駄になったと思うだけでなく、張本選手のように自身を追い詰めることにもなってしまうのかも知れません。しかしこれは程度の差こそあれ、私たちにも起こることではないでしょうか。人生の勝利として、健康で長生き、そして経済的な安定や社会的地位を人生の目標、ゴールとしたなら、「こんなはずではなかった」「自分の人生は何だったのだろう」「空(むな)しい」と、思うことがあるということです。

 しかし、果たしてそうなのでしょうか? 人生の目標、いただいたいのちのゴールは勝ち負けなのでしょうか。「勝ち」をゴールにしたなら、当然「負け」が生れます。しかしお釈迦さまは、それぞれが誰とも比べることのない、尊いいのちをいただいていると、説いてくださっています。そう、試合に勝ち負けはあっても、人生に勝ち負けはないのです。


写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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