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セラピーのかたち -寺尾先生-

2025.06.18

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セラピーのかたち

  メンタルヘルスやサイコセラピーは、日本では特に敷居の高いトピックでしたが、最近は以前より身近なものになってきて、ここベイエリアでも多くの日本人の方からコンタクトをいただくようになり、良い変化だと感じています。診断名がつく病気がない方たちも、考え方や感じ方、他人との付き合い方や癖など、理解を深めたいことは多々あるでしょう。また、愛する人や家族に対する付き合い方を見つめて成長するためにも役立ちます。

 個人セラピーでは、個人としての一人のクライアントに対してのワークをしていきます。その人の過去の環境や人間関係、社会での体験、健康状態や現在の環境などを視野に入れつつ、今の悩みと将来のゴールに焦点をあて、その方のゴールに沿って紐解いていきます。

 カップルセラピーでは、カップル内での共通したゴールに向かってセッションを進めます。夫婦、婚約者、交際中のカップルなど形態はさまざまで、彼らの中で何らかの問題があってセラピストを訪れると、まず共通のゴールを探り、それに向かってワークをしていきます。もし共通のゴールがどうしても見つからないという場合は、それはそれで意味のある発見です。そこからどうしていきたいのかを探っていきます。カップルセラピーをしていて、個人の問題がカップルの関係に問題を与えている場合は、個人セラピーを勧める場合もあります。

 家族療法は、家族全体を一つのシステムとして焦点を当てていきます。例えば、子どもが暴れて困っていたり、引きこもりで悩んでいるときには、子どもにも暴れたり引きこもる理由がある。これを家族での病理と捉え、そこを理解し、方向を変えていくように働きかけます。家族がお互いの問題を引き起こしていたり、助長していたり、家族それぞれの役割が混乱していると、機能不全家族と呼ばれます。家族全体を治癒させていくのが、家族療法です。

 いずれの場合も、変化に繋がる大きな要素は、家族や本人の本気度です。今の状況が問題だと捉え、変わりたいと強く思う。それが変化に繋がっていきます。わたしたち人間は、なにか問題がなければ現状維持や楽な道を選択するもの。変化を起こすためには気づきと努力が必要なのです。


寺尾 明希子(てらお あきこ)心理療法士

カリフォルニア州公認心理療法士、臨床ソーシャルワーカー。サンフランシスコ大学で心理学の学士号、心理学の修士号、社会福祉保健学の修士号を取得。現在はサンフランシスコ、ベイエリアで、対面とオンラインの両方で心理セラピーとコンサルテーションを提供。専門は、うつ、不安、人間関係の問題、摂食障害。家族機能不全から発生するさまざまな症状を扱う。また、問題を抱える人の家族向けのコンサルテーションも行う。

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