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心の病気と人格障害 -寺尾先生-

2025.04.30

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心の病気と人格障害


 「心の問題」「心の病気」「精神症(病)」「人格障害」の違いについて書きます。

 心の問題とは、人の感情、考え、行動のいずれかに問題があり、社会生活に影響が起きる状態を指す大まかなカテゴリーです。不安すぎて眠れずに朝起きられない、対人関係がうまくいかなくてひきこもる、なんとなく落ち込む状態が続いてやる気がでない、など、さまざまです。

 その中で、「心の病気(Mental Illness)」は、体の病気と同じように医療の力が必要になるものです。うつ病、摂食障害、不安障害、パニック障害、統合失調症、双極性障害など。睡眠や食事への影響と、気分の影響の程度が高いため、精神科の薬やカウンセリングが必要となります。

 「精神症(病)」というと、現実の認知に異常がでる状態を指します。主な例は、幻想と幻覚。幻想は、現実に起きてないことを信じること(例:自分は誰かに見張られている、自分は偉大で何でもできる)。想像力によって起こりますが、それが現実だと信じてしまい、現実の認知ができなくなります。幻覚は実際にないものが見えたり聞こえたりすること(例:実際にいない人や影が見える。はっきりした声や、ささやきが聞こえる)。統合失調症がよく知られていますが、うつ病や両極性障害の症状の一つとしてみられることもあります。幻覚は、脳の機能に問題があることで起こるもので、薬物の使用や極度の睡眠・栄養不足、認知症などが原因の場合もあります。幻覚も幻想も、原因が何かを突き止めるのは治療方法を決める上で重要です。

 「人格障害(Personality Disorder)」とは、長期にわたっての行動パターンの障害です。症状や傾向が子供時代に現れることがあるものの、診断は思春期の最後から青年期にかけてがほとんどです。その頃になると、性格が定まってくるので、そこで持続されるパターンとして診断されます。人格障害の症状は、比較的安定して長期にわたって続きます。本人が問題だと自覚しない場合も多く、そこが大きなバリアとなります。自覚したらパターンを変えて社会生活での支障を減らすのが治療の目的となります。


寺尾 明希子(てらお あきこ)心理療法士

カリフォルニア州公認心理療法士、臨床ソーシャルワーカー。サンフランシスコ大学で心理学の学士号、心理学の修士号、社会福祉保健学の修士号を取得。現在はサンフランシスコ、ベイエリアで、対面とオンラインの両方で心理セラピーとコンサルテーションを提供。専門は、うつ、不安、人間関係の問題、摂食障害。家族機能不全から発生するさまざまな症状を扱う。また、問題を抱える人の家族向けのコンサルテーションも行う。

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