日本と比べて複雑な医療保険。日本の保険との相違点、個人で高額な保険料が支払えない人に補助金が出るオバマケアに関して説明しよう。
日本の医療保険との相違点
国民健康保険のように国の制度として提供されている医療保険は、米国市民と永住権保持者が対象になり、MedicareA&B(65歳以上)とMedicaid(低所得者用、カリフォルニア州ではMedi-Calという)がある。その他の者には国営の医療保険が提供されないため、勤務先の会社を通して提供されるグループ保険に加入するか、個人用の保険に加入することになる。これらの医療保険は民営の保険会社から提供され、加入者の年齢によって保険料を決めている。例えば、保険の使用頻度が高くなると予想される加入者の保険料は高くなり、1歳までの新生児や、高齢者である64歳の保険料が一番高く設定されている。特に世界でも医療保険制度の良い国で育った日本国民にとっては信じられないことだが、民営だということを理解してほしい。例えば、被保険者が毎月100ドルの保険料を支払い、国から補助を受けられない民営の保険会社が、その10倍から100倍の医療費を医療機関に毎月支払うようでは会社が経営できないためである。
さらに、医療費が日本とは異なり高額である。国からの援助がないため、日本では2000円で受けられるような検査が、米国ではその100倍の2000ドルかかることもある。カリフォルニア州で有名な某病院のERに行った際には、数万ドルの請求をされることもある。従って、保険会社はリスク回避と高額な医療費の出費を防ぐため、独自のネットワークを作って医者や医療機関を傘下に入れ、医療費をお互いに交渉し、高額な医療費を請求できないようにしている。
保険内容
確認すべきアメリカの医療保険のポイントは4つ。(Office Visit,Annual Deductible, Co-Insurance, Out of Pocket Maximum)
日本の公的医療保険制度では、費用の何割かを負担するのが一般的だが、アメリカでは医者との検診をOffice Visitといい、検診費用(10〜50ドル)が決まっている。安いプランに加入すると、Office Visitは保険対象外か年に2、3回までと制限があり、高いプランほど制限がなく検診費用も安くなる。検診といっても問診に近く、医者からの助言や手法によっての検査に限り、レントゲン、MRI、CTスキャンなど、医療器具を使用しての検査や何ら外科的な処置は対象外となる。
Annual Deductibleという、年間の免責(保険がきかない最初の自己負担額)は、良いプランほど免責額は低くなるが、毎月の保険料は高額になる。Office Visitは対象外で、医療器具を使用しての検査費用・治療費用・入院費用などが対象となる。
次にCo-insurance(日本でいう何割負担)があり、それが20%であれば、Annual Deductibleを満たしたあとの自己負担額は2割になる。
さらに、Out of Pocket Maximumというものがあり、自己負担額に上限がある。Annual Deductibleを満たしたあとCo-insuranceを払い続け、年間でこの上限額を満たすと、被保険者はそれ以上の支払い義務がなくなる。日本の医療保険と異なる良い点は、50万ドル以上の高額な手術費用を請求された場合、2割負担ではなく、Out of Pocket Maximum(プランにより3000〜8200ドル/1人)の額を負担すればよいことにある。
オバマケア
2014年1月1日より施行された通称「オバマケア」の概要を説明する。
(1)既往症と病歴を理由に保険会社は加入を拒否できない。
(2)市民・永住者(ある特定の者を除く)は医療保険の加入が強制され、加入しない者はタックスリターン時に罰金を支払う。罰金は成人1人あたり少なくとも950ドル(夫婦の場合は1900ドル)、または申告基準額を超える総所得の2.5%になる。
(3)保険加入は法で定められた期間内(1月1日∼2月1日)にしか加入できない。特例もあり、次の理由で加入済みの保険を失った場合は、保険の失効日から60日以内であれば申請して加入が可能である。(レイオフ、結婚、離婚、出産、州を隔てた引っ越しなど)
(4)一世帯あたりの取得年収に応じて、金銭的援助が受けられる。
カリフォルニア州ではCovered Californiaというオンラインの保険取引所を通して申請する。収入がない者や、収入が少なすぎる者は対象外だが、高額な保険料を支払うための十分な収入がない場合は補助金がもらえるので、直接CoveredCaliforniaに申請するか、申請代行をするエージェントを通して加入ができる。