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ビジネス紛争を解決する「仲裁」という選択肢

2026.05.01

配信

米国は訴訟大国であり、ビジネスを行ううえで訴訟リスクを常に意識する必要がある。訴訟が提起されると、弁護士費用が増大するほか、陪審員による判断は予測困難であり、企業にとって費用面・時間面の双方で大きな負担となりえる。こうした背景のもと、裁判に代わる紛争解決手段として「仲裁」が選択肢として挙げられる。

仲裁とは

仲裁は、当事者の合意に基づき選任された仲裁人(1名または3名)が、事実関係と当事者の主張を踏まえて判断を下す紛争解決のための制度である。手続きは、多くの場合、仲裁機関の規則に基づいて進められ、同機関がその管理を担う。主な特徴は次のとおりである。

  • 手続きが非公開で進む
  • 専門性を考慮して仲裁人を当事者が選任できる
  • 陪審裁判を回避でき、判決について一定の予測可能性がある
  • 国際取引で中立的な紛争解決手段として利用できる

特に国境を越える取引では、どちらか一方の国の裁判所で争うことを避けたいケースが多く、仲裁は一般的な紛争解決の選択肢となっている。

仲裁のメリットと法的効果

仲裁には、訴訟と比較していくつかのメリットがある。まず、証拠開示(ディスカバリー)が限定的であり、手続きが簡素化され、紛争をより迅速に解決できる可能性がある。

また、仲裁判断(アワード)は原則として最終的な決定として扱われ、米国連邦仲裁法(Federal Arbitration Act)が定める限られた例外を除き、上訴することはできない。

さらに、裁判所が仲裁判断を承認すると、その判断には裁判所の判決と同等の効力が付与され、国内外での執行が可能となる。

仲裁の費用とプロセス

仲裁では、弁護士費用に加えて、仲裁人の時間報酬が発生する。手続き開始時には、仲裁機関が請求額に応じた相当額の預託金を求めるのが一般的である。請求額が高額な場合、初期の預託金だけで数万ドルに達することもあり、連邦裁判所の訴訟提起申立手数料(約400ドル)とは大きく異なる。

仲裁では、証拠開示は通常限定的であるほか、第三者に対する召喚は容易ではない。また、証言は書面で提出されることが多く、口頭証言録取(デポジション)が行われないケースもある。こうした点も、仲裁の手続きが効率的に進む要因となっている。

仲裁手続きを有効に活用するために

仲裁を利用するためには、当事者間の事前の仲裁合意が必要となる。そのため、契約書に仲裁条項を盛り込むことが最も確実である。仲裁条項では、少なくとも次の事項を定める必要がある。

1. 仲裁の対象範囲(どの紛争を仲裁に付すか)
2. 準拠法(どの国または州の法律を適用するか)
3. 仲裁地・審問(ヒアリング)の場所
4. 利用する仲裁機関

代表的な仲裁機関には、次のものがある。

  • AAA(American Arbitration Association)
  • JAMS(ジャムズ)
  • ICDR(International Centre for Dispute Resolution)(国際案件が中心)

日本法を準拠法とする場合や日本関連の取引では、日本商事仲裁協会(JCAA)も採用されている。

仲裁条項の文言は、手続きの進め方や費用に大きく影響する。将来の紛争リスクを適切に管理するためにも、条項を作成・見直す際には、専門家に相談したうえで慎重に検討することが推奨される。

情報提供:萬タシャ、デイビッド・マクマン、エリザベス・シューメイカー
Miura & Partners US www.miura-us.com


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