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うつ病と家族への影響 -寺尾先生-

2025.10.01

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うつ病と家族への影響

 こんにちは。秋に入り、お店にはホリデーシーズンのアイテムも見かけるようになりました。季節の変わり目、特にホリデーシーズンの前には、気分の浮き沈みを経験される方が多いです。日照時間の減少や、自分の人間関係を振り返る機会が増えることも原因でしょう。

 気持ちの落ち込みは誰にでも起きますが、トリガー(きっかけ)がなくなっても続き、自分を責めたり絶望感を感じたり、身体症状(睡眠や食欲の変化)が一定期間続くと、うつ病と診断されます。うつは、他の障害(不安症、恐怖症、薬物依存、摂食障害など)の第二症状として発症することも多いです。うつ病は、心の病気で一番耳にする病気ですが、それらの病気に共通している点があります。

 うつ病や他の心の病気の共通の特徴として、思考や気持ちの内面化が挙げられます。自分を責める、恥ずかしいと思う、後悔や疎外感、絶望感など。外の景色が目に入らなくなります。自分だけの世界に入ってしまうのです。したがって、家族からのサポートや優しい言葉も届きません。そのかわり、家族からのネガティブな視線は、自分の自分に対する考えと同じであるため、まっすぐ入っていくのです。

 苦しむ当事者を愛する家族も大変な苦しみを味わいます。愛する人が苦しんでいるのを見ても、自分には何もできない現実。当事者のサポートに気をとられ、他の家族が放っておかれることもあります。子どもの一人がうつになった場合、他の兄弟がほうっておかれるかもしれません。その子の年齢によっては、寂しかったり、自分が大事でないと感じたり、病気の兄弟を恨んだりもするでしょう。また日本では、うつの家族を隠すということが行われる地域もたくさんあります。家族で戸惑い、悩み、色々な機会から切り離されるうつ病。こんなときに大きな助けになるのは、専門家のような理解者はもちろんですが、同じように悩んでいる仲間との出会いです。

 悩んでいる人の話しを聞いて、学び、自分の話をすることで考えを整理する。聞くことは、話すことと同じかそれ以上にパワフルなのです。


寺尾 明希子(てらお あきこ)心理療法士

カリフォルニア州公認心理療法士、臨床ソーシャルワーカー。サンフランシスコ大学で心理学の学士号、心理学の修士号、社会福祉保健学の修士号を取得。現在はサンフランシスコ、ベイエリアで、対面とオンラインの両方で心理セラピーとコンサルテーションを提供。専門は、うつ、不安、人間関係の問題、摂食障害。家族機能不全から発生するさまざまな症状を扱う。また、問題を抱える人の家族向けのコンサルテーションも行う。

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