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アメリカの歯科定期検診とクリーニング - 森田先生(歯科医)

2024.06.19

配信

アメリカの歯科定期検診とクリーニング

 近年、日本でも定期的に歯科医に通うことが一般的になってきました。しかし、アメリカと日本では歯科環境が異なるため、定期検診やクリーニングの内容も異なります。今回はその違いについてお話ししたいと思います。

◉ 定期検診の重要性
 日本でも定期検診を受けている方が多いと思いますが、渡米後はアメリカでの検診もお勧めします。その理由の一つが、患者一人に対する診療時間の違いです。日本では保険制度の制約により、一人ひとりに与えられる診療時間がアメリカに比べて非常に短いです。そのため、限られた時間内で全ての箇所を確実に検診することが難しく、虫歯や歯周病の発見が遅れることが問題となる可能性があります。
 もう一つはレントゲン撮影の方法です。日本では主にパノラミックレントゲンを使用し、口全体を一枚で撮影します。このタイプのレントゲンは、親知らずの位置確認や大きな感染の発見に適していますが、アメリカではより小さなフィルムで複数枚のレントゲンを撮影し、細かく口の状態を確認します。これにより、小さな虫歯の早期発見が可能となり、大きな問題を未然に防ぐことができます。さらに、デジタル技術の進歩により、被曝量も最小限に抑えられています。

◉ 定期的なクリーニングの重要性
 クリーニングにおいても、アメリカと日本では大きな違いがあります。まず、日本ではアメリカほど時間をかけてクリーニングを行うことが少ないです。時間が短いと、細部まで丁寧にクリーニングすることが難しくなります。また、クリーニングとセットで行う定期検診も重要な相違点の一つです。アメリカでは、クリーニングの際に歯科医が口の状態を確認し、必要に応じてクリーニングの指導や改善点の指摘を行います。これにより、患者自身が自宅で行うケアの質を向上させ、健康な口腔環境を維持することができます。日本では、汚くなった口の中を元に戻すというコンセプトが強い印象がありますが、アメリカでは普段のケアが適切に行われているかを確認し、不足している部分を補うという考え方が主流です。

◉ 予防歯科の重要性
 アメリカでは近年、予防歯科に力を入れており、どうすれば健康な歯を長く保てるかの研究が進んでいます。虫歯や歯周病の早期発見と早期治療は、その中で非常に重要な要素となります。細かな定期検診やクリーニングを行うことで、大きな問題を未然に防ぎ、健康な歯を維持することができるのです。

 このように、アメリカと日本の歯科定期検診やクリーニングの違いを理解することで、より効果的な口腔ケアを実践できるようになるでしょう。


森田耕平(もりた・こうへい) D.D.S.

2005年のUC Berkeley大学卒業。2009年、ニューヨーク大学歯学部卒業。2010年からニューヨーク病院で研修を開始。口腔外科、審美歯科、小児歯科、インプラント治療について研究を重ねる。ICOI(International Congress of Oral Implantologists)、ITTI(International Team of Implantology)のメンバー。2012年クパチーノで開業。 

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