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離乳食に重金属が混じっている!? -柏先生(小児科医)

2025.11.05

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離乳食に重金属が混じっている!?

 数年前話題になったニュースに、「市販の離乳食のほとんどに重金属が混じっていた」というものがありました。170種類の市販ベビーフードの95%のサンプルからヒ素、カドミウム、水銀などの重金属が含まれていることがわかった、というものでした。これを受けて2021年と24年に、離乳食の重金属の最大許容基準値の設定をFDAに求める法案が提出されましたが成立には至っていません。現時点では、鉛の含有量のガイドラインは設定されていますが、度重なる重金属検査で、複数の離乳食製品がこの上限を超過していることが報道されています。こんなことを聞くと、心配になる人も多いと思います。

 問題になっている重金属は主に無機ヒ素、鉛、カドミウム、水銀などです。少量であれば食べても問題にはなりませんが、大量に食べると体にさまざまな不調が起こります。体が小さく脳が発達段階にある赤ちゃんには、重金属の影響が大人よりも出やすいと言われています。懸念されているのはIQの低下、ADHD、糖尿病、癌などのリスクが上がることです。ただし、これらは他の環境因子や遺伝因子も大きく関わってきますので、重金属だけのせいにするべきではありません。

 なぜ重金属が食べ物に混じっているかというと、地球の環境に重金属が混じっているからです。土や水、また海の中から食材の中に取り込まれ、私たちの口に入ります。また、食品を加工・包装する過程で入る場合もあります。

 重金属の摂取を減らすために消費者は何ができるのでしょうか。まず第一に、偏った食事をしないことです。一つのものばかり大量に食べる食生活はリスクが高く、たくさんの種類の食材をまんべんなくとると、その分リスクも分散されるというわけです。栄養的にも同じことが言えますね。特にお米に含まれる無機ヒ素が問題になっていますから、いろいろな穀物をとりいれるといいですね。他に、水銀量の低い小さな魚を選ぶこと、果物のジュースを飲まないこと、母乳育児をすること、喫煙しない(電気タバコも含む)こと、古い水道管などで水質に問題がある場合にきちんと対策をすることなどがあげられます。有機栽培でも関係なく、オーガニック食品にも重金属は含まれます。自主的に検査を行って公表している離乳食メーカーなどもありますので、ぜひお使いの離乳食会社を調べてみてください。


柏雪子(かしわ・ゆきこ)医師
アメリカ小児科学会認定医。茨木県出身。日本の高校卒業後渡米し、南カルフォルニアのロマリンダ大学医学部、同大学小児科の研修を修了する。ロングビーチ、サクラメントでホスピタリスト(病棟勤務医)の経験を経て、2015年3月より日本ベイクリニックに勤務。

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