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子どもの長引く咳 ― 放っておいて大丈夫?-柏先生(小児科医)

2025.06.04

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子どもの長引く咳 ― 放っておいて大丈夫?

 子どもが風邪をひいたあと、熱は下がったのに咳だけがなかなか治らない。そんなお子さんを診ることが近年増えてきた印象があります。いわゆる風邪と言われるウイルス感染症は1〜2週間程度で回復しますが、咳だけが2〜3週間も続くことは珍しくありません。今回はこの「長引く咳」にどのように対処すればいいのかお話しします。

 まず、風邪によってのどや気管支に炎症が起きると、ウイルスがいなくなった後もその炎症が残ることがあります。この状態では、気道が刺激に敏感になり、ちょっとした温度差や乾燥、運動などでも咳が出やすくなります。これを「感染後咳嗽(がいそう)」と呼び、特に小さな子どもではよく見られます。通常は数週間以内に自然に改善しますが、夜間や早朝に咳き込んで眠れない場合などは、症状を和らげる対処が必要です。

 家庭でできるケアとしては、まず室内の湿度を保つことが大切です。加湿器を使ったり、濡れタオルを部屋に干すことで、乾燥による咳の悪化を防ぎます。また、喉に優しい温かい白湯やはちみつ湯など(1歳未満の乳児にははちみつは厳禁)をこまめに与えることも効果的です。

 ただし注意が必要なのは、咳が3週間以上続く場合や、咳とともにゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)があるときです。これらは気管支喘息やマイコプラズマ感染、百日咳など、風邪とは異なる病気の可能性があります。特に夜間の咳が強い、走るとすぐに咳き込む、家族に喘息歴がある場合などは、主治医に相談してみてください。症状によっては胸部レントゲンなどの検査や薬の処方が適切な場合もあります。

 ほかにも、繰り返し咳をこじらせることがあれば、花粉症やハウスダストなど、アレルギー性の咳も考えられます。後鼻漏といって、鼻の奥から喉のほうに粘液(鼻水)が流れ落ちてくる状態から咳が続いてしまうこともよくあります。咳は気道内の異物や炎症物質を排出するための自然な防御反応でもあるので、市販の咳止め薬は安易に使用しないようにしましょう。

 咳が長引くと、子ども自身もつらい思いをしますし、睡眠に影響が出ることもあります。心配なことがありましたら、主治医に受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。


柏雪子(かしわ・ゆきこ)医師
アメリカ小児科学会認定医。茨木県出身。日本の高校卒業後渡米し、南カルフォルニアのロマリンダ大学医学部、同大学小児科の研修を修了する。ロングビーチ、サクラメントでホスピタリスト(病棟勤務医)の経験を経て、2015年3月より日本ベイクリニックに勤務。

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