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【相続】日本とアメリカの 遺産相続

2025.07.16

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【相続】日本とアメリカの 遺産相続



日本の場合、被相続人がお亡くなりになると、法定相続人は何ら特別な手続きを行うことなく、自動的に遺産を相続することになります。法定相続人が遺産を相続したくない場合は、相続放棄の手続きをとる必要があります。相続放棄の手続きを取らない限り、法定相続は、プラスの財産もマイナスの財産(借金)も自動的に相続することになります。  

これに対しアメリカの遺産相続では、相続財産はエステイトという財団を構成し、裁判所の指定した財産管理人や遺言執行者が管理することになります。財産管理人や遺言執行者は裁判所の監督の下、相続債務や未払い税金の支払いを行い、残った財産を相続人や受遺者に分配することになります。このようなアメリカの相続手続きを「プロベイト」といいます。プロベイトは、通常1年から1年半ほどかかり、その間法定相続人や受遺者は遺産を使えなくなるというデメリットがあります。また、高額の弁護士費用がかかることもデメリットの一つです。

一方、アメリカの場合、遺産税の基礎控除額が約20億円と極めて大きいので、ほとんどのケースで遺産税はかかりません。しかし、相続人の一部や被相続人が日本人の場合、原則として、全世界の相続財産に対して日本の相続税が課せられます。日本の相続税の基礎控除額は3000万円+法定相続人の数×600万円ですので、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円しかありません。そこで、アメリカに居住する日本人については、アメリカでは遺産税の申告は不要ですが、日本では相続税の申告が必要という場面が生じます。多くの場合、日本にある相続財産だけでなく、アメリカにある相続財産に対しても、日本の相続税が課せられることになります。  

上記の通り、アメリカにおける遺産はプロベイト手続きにより凍結されてしまいますので、アメリカの遺産の中から日本における相続税の支払いを行うこともできず、納税資金が不足して困ってしまうというケースが出てきます。  

時間と費用のかかるプロベイト手続きは、できるだけ回避したいと思われます。多くのアメリカ人は、プロベイト手続きを回避するため、リビングトラストという生前信託を利用し、生きている間に自分の所有する全ての財産に対して信託設定をする方法を利用しています。信託設定をしても、生きている間は自由に財産を使用したり処分したりすることができます。また、リビングトラストの中で指定された受益者(例えば奥様やお子様)は、被相続人の死亡と同時に相続財産を処分することができるようになります。従って、日本で相続税がかかる場合でも、アメリカの相続財産を処分することで、相続税の納付ができるようになります。アメリカに財産を有する日本人の方は、是非リビングトラストの設定についてご検討ください。


代表弁護士  栗林 勉
カリフォルニア州・日本(第一東京弁護士会)
栗林総合法律事務所
+81-3-5357-1750
 info@kslaw.jp


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