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【相続】アメリカと日本の 遺産相続について

2023.07.19

配信

日本とアメリカ、両国にまたがる遺産相続は、相続対象となる財産が所在する国の法律が適用されるため、遺言書の作成方法についても注意が必要です。実際の相談事例をもとに、二国間での相続について解説します。  

依頼者のXさん(日本人の女性)は、アメリカ国籍であるご主人Yさんの内縁の妻で、Yさんの連れ子のaさん、bさんの4人で生活しています。Yさんはアメリカだけでなく日本国内にも財産を所有しており、日本にある財産は日本人であるXさんに相続させたいと考えています。そこでYさんは、英語による「日本にある財産をXさんに相続させる内容の遺言書」をアメリカ国内で作成することになりました。  

日本とアメリカの間には「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」があり、アメリカ人がアメリカ国内でアメリカ法に基づき作成した遺言については、日本国内においても有効な遺言とするとされています。従って、アメリカ人である内縁の夫(Yさん)がアメリカ国内で作成した遺言も日本では有効な遺言として扱われ、日本にある財産については、内縁の夫であるYさんの遺言に基づいて分配されることになります。遺言書が英語で作成されている場合も同じです。  

ただし、アメリカで作成された遺言書は日本の民法で定める公正証書遺言とはなりません。アメリカの公証人の前で作成した遺言書も同じです。日本の公正証書遺言は日本の公証人の面前で作成する必要があるからです。アメリカの公証人の面前で作成した遺言書は、日本では公正証書遺言ではなく、自筆証書遺言として扱われることになります。その結果、遺贈を原因としてYさんからXさん名義への不動産登記の変更を行う場合は、相続人全員の印鑑証明書(またはサイン証明書と本人確認書類)が必要となります。本件では、aさんやbさんはご主人Yさんの法定相続人ですので、日本国内の不動産の名義変更を行うためには、aさんやbさんの協力を得る必要があります。

このような場合、日本で公正証書遺言を作成しておくことで、他の法定相続人からの協力なしに単独で名義変更を行うことができるようになります。日本で公正証書遺言を作成する場合は、遺言をしようとする本人(本件ではYさん)が日本の公証人役場に出向き、日本の公証人の面前で遺言書を作成する必要があります。日本での公正証書遺言の作成を検討されている場合は、一度ご主人と一緒に日本に帰国し、その際に遺言書を作成してもらってはどうでしょうか? なお、日本の公正証書遺言は日本語で作成されることになります。通訳人がその内容をご主人に説明し、ご主人の了解を得て作成することになります。  

日本とアメリカの両方にかかわる遺産相続では、どの財産に対してどこの国の法律が適用になるのかなど、複雑な権利関係について理解しておく必要があります。国際相続について悩まれている方は是非栗林総合法律事務所にご相談ください。



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