サンノゼ市のペイパル・パークで7月27日、女子サッカーの国際親善試合が行われ、WEリーグの浦和レッドダイヤモンズレディース(浦和)は、米ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL)所属のベイFCと2対2で引き分けた。ベイFCにとってはリーグ再開前の最終戦で、浦和にとっても今夏の米国遠征を締めくくる重要な一戦。約7000人の観衆が詰めかけた会場は、日本人サッカーチームの子どもらがエスコートキッズを務めたほか、両国の国歌斉唱も行われ、まさに国際試合といった雰囲気の熱気に包まれた。
(撮影:Yuki Kashima)
試合は立ち上がりからベイFCが激しいプレッシャーを与え、前半6分、FWペネロペ・ホッキングが抜け出し先制点を奪取。浦和は徐々に落ち着きを取り戻し、21分にはMF丹野凜々香が相手DFとの競り合いからこぼれ球を押し込み同点に追いついた。後半序盤は浦和が試合を優位に進める展開となり、64分にDF高塚映奈がヘディングで勝ち越しゴールを記録。しかし、70分以降は浦和が防戦一方に。そして試合終了間際の後半アディショナルタイム、ベイFCがPKを得ると、MFキャロライン・コンティが冷静に決めて土壇場で追いついた。
昨年17歳でデビューしたU-19日本女子代表の逸材FW、藤崎智子も後半途中からプレー
浦和の堀孝史監督は「我々は高い位置からのプレスをテーマに臨んだが、序盤から相手の激しいプレスでボールを奪われ失点につながった。相手の強度、スピードの高さを感じた試合だった」と振り返った。MF伊藤美紀はベイFCについて、「攻撃においてはまずビルドアップのところでしっかりとつなぎ、背後を狙ったり、寄せたところからサイドチェンジをしたり組織的な攻撃をしている」と語り、試合の雰囲気についても「スタジアムの音楽やファンの雰囲気など、サッカーを楽しむという文化を肌で感じることができた。こうした経験は選手として大きな刺激になる」とコメントした。
堀監督は、「地域の方々が集まって色々なイベントもやりながら、試合のときにはみんなで楽しむ、そういう文化がアメリカの女子サッカーはすごいなと思いました」と話した
一方、ベイFCのアルベルティン・モントヤ監督は「浦和はポゼッション能力に優れた非常に良いチーム。スペインや日本のような特徴のあるサッカーに触れる良い機会となった。我々もボールを保持するスタイルに挑戦しているところで、サイドチェンジやスピードも活かしたサッカーをしていきたい」と語り、終盤まで粘り強く戦った選手たちを称えた。ベイFCにとっては今季NWSLレギュラーシーズン後半戦へ向けた弾みとなる試合。浦和Lにとっても、日本とは異なる環境下での高強度なゲームに対応し、チーム力と国際経験を積む貴重な機会となった。今後、ベイFCは8月2日にヒューストン・ダッシュとのリーグ初戦を控え、浦和は日本に帰国後、WEリーグへ向けて調整を進める。互いにとって今後の戦いに向けた布石となる、実りある一戦だった。
前回ワールドカップやパリ五輪、そして先日の東アジアE-1選手権でも日本代表として活躍した、高橋はなが主将として出場
サンノゼ市長マット・マハン氏より、石原主席領事にベイFCの記念ユニホームが贈呈された。マハン市長はサッカー経験者とのこと
シアリー・マツモト氏による琴の演奏で両国国歌斉唱が静粛に行われた
試合前に円陣を組む浦和レッズレディース
この日はハローキティ・ハットもファンに配られた(撮影:Yuki Kashima)
地元サッカーチームEastshore Allianceの子どもと入場する伊藤選手