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「出汁」で挑む、アメリカンドリーム -HINODEYA RAMEN BAR-

2026.10.14

配信

「出汁」で挑む、アメリカンドリーム
 HINODEYA RAMEN BAR代表 栗原 正生 氏

 ベイエリアを拠点に「出汁ラーメン」で旋風を巻き起こすラーメン店「HINODEYA」。料理人として世界で活躍してきた店主・栗原氏に、渡米の足跡からアメリカにおけるラーメン文化について聞いてきた。


まず、アメリカ進出の拠点としてサンフランシスコ(ベイエリア)を選んだ理由を教えてください。

 私はヨーロッパでの経験もありましたが、挑戦の場として「世界のトッププレイヤーが集まる」場所であるアメリカを選びました。和食の料理人として何を持ち込むべきかと考え抜いた結果辿り着いたのが、和食の基本である「出汁(だし)の文化」です。 私が1店舗目を開いた10年前のベイエリアは、豚骨ラーメン全盛期でラーメンと言えば豚骨でした。料理人として、出汁を使ったラーメンを広めたいと考えたのです。アメリカの沿岸部では比較的新しいものを受け入れてもらえる食文化があります。多様性とイノベーションを尊重するベイエリア、特にサンフランシスコだからこそ、この「新しい挑戦」を受け入れてもらえたと感じています。


食材や麺についての苦労はありましたか

 最初は食材を日本からハンドキャリーし、鍵付きの「調合室」を作って元ダレのレシピを守りながら手作業で調合していましたね。ラーメンが根付いてからこの10年で入手しやすい環境になりました。製麺屋さんから素晴らしい麺も手に入ります。うちでは豚骨ラーメンの王道である「細ストレート・低加水麺」とは真逆の、「中多加水・太縮れ麺」を採用しています。繊細な出汁の風味や塩味を壊さず、うどんのようなモチっとした食感を残しながら、スープをしっかり持ち上げるためです。店舗の忙しさや湯温の変化によってクオリティが下がらないよう粉の配合や形状を、麺屋さんと一緒に試行錯誤し作りました。「誰が茹でても安定する」と「味の妥協なき追求」を両立させたのが現在の麺です。 

アメリカのラーメン市場の「今」と「これから」をどう見ていますか? 

 沿岸部では単なる和食店ではなく「ラーメン専門店」としての認識が完全に定着し、顧客が「本物」を見極められるステージに入りました。中国系や韓国系など多様なプレーヤーによる「日式ラーメン」の参入も増えていますが、業界の裾野が広がるのは大歓迎です。その中で一歩抜きん出ることこそが私たちの腕の見せ所ですね。 今後は、ラーメンという括りからさらに細分化が進み、油そばやつけ麺、汁なし麺といった専門店が増加すると予測しています。うどんやそばといった他の麺類は、ラーメンのようにどこでも受け入れられるかと言われるとまだまだ先は長いと思いますが、出店エリアを慎重に見極めることが必要だと感じています。例えば「サンフランシスコ」だけではダメで、サンフランシスコのさらに「どこ」なのか?といったことが、大事だと思います。

 また、日本のこだわりを守りつつも、現地のビジネス環境に合わせてローカライズする「柔軟性」を持つことも、今後アメリカで成功する鍵になるはずです。


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