【資産】アメリカ居住者が知っておきたい
日本帰国の際の「Exit Tax」について
日本へご帰国の際に、アメリカの永住権や国籍をアメリカ政府に返還する人がいらっしゃいます。
アメリカ永住権やアメリカ国籍を離脱する理由はさまざまですが、多くみられるケースの一つに離婚があげられます。アメリカ人の配偶者と結婚して、アメリカ永住権やアメリカ国籍を取得したが、離婚とともに返却をするという場合です。そのほか、会社の帰任によって日本へご帰国なさる駐在員や、アメリカ永住権やアメリカ国籍を取得したのち、日本へ帰国するためにアメリカ政府へ返還するというケースもあります。アメリカ国籍を手放す、またはアメリカ永住権を手放すということは、とても重要な出来事です。ただ単に確定申告の義務から逃れるという理由だけではなく、より重大な意味があります。
かなり多くの人がこの手続きを移民局へなさいますが、気をつけなければいけないのは、Exit Tax(Expatriation Tax)という税金がかかる可能性があるということです。
Expatriation Taxについて
Expatriation Taxの対象になるのは、次の場合です。
・居住終了日からさかのぼって5年間の平均所得税額が一定の金額以上(2023年は19万ドル以上)ある
・自身の全世界における純資産が海外移住または居住終了の日の時点で200万ドル以上ある
居住終了日からさかのぼって過去5年間の確定申告は必ず提出し、税金をすべて支払っておく必要があります。アメリカ永住権やアメリカ国籍を返還、放棄なさる場合、Form 8854という書類を提出する必要があります。この書類を提出しなかった場合の罰金がとても高額なので、ご注意ください。罰金は、1万ドルになります。
Expatriation Taxの対象になる要件に、過去5年の平均所得税額が19万ドル以上とありますが、たとえ奥様だけがグリーンカードを手放すとしても、夫婦合算で申告している場合は夫婦合算での所得税額が対象になります。そのため、グリーンカードを手放すということが分かった時点で、夫婦別に確定申告をすることは一つの対策でもあります。
アメリカ政府による全世界における財産の申告による個人情報の把握のための情報開示であるFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)やFBAR(外国金融口座報告)についても注意が必要です。アメリカ国外にある財産が、1万ドル以上の場合は、アメリカ政府に毎年報告しなければいけません。過去5年間の確定申告を必ず提出していなければいけないので、この時点でFBARやFATCAの申告がすべてなされているかを確認する必要があります。申告されていなかった場合は、修正申告などですべて申告がきちんとなされているかを見直しをする必要があります。
401Kがある場合は納税が延期されますので、最大限に401Kに財産を入れておくというのは良い考えです。401Kは、その資産を引き出した場合に課税対象になります。
FBAR、FATCAについて
前述したFBAR、FATCAですが、たとえ日本へご帰国になっても、グリーンカードを保有なさっている場合は全世界の財産をアメリカ政府に報告し、全世界の所得に対してアメリカ政府に確定申告する必要があります。
行わなかった場合の罰金回避の条件として、申告をしていなかったのが故意ではない(Taxpayers must certify that conduct was not willful.)ということが挙げられますが、IRSが監査を始めた場合には罰金回避が難しくなりますので、監査の対象になる前に早めに申告をする必要があります。(If the IRS has initiated a civil examination of taxpayer's returns for any taxable year, regardless of whether the examination relates to undisclosed foreign financial assets, it will make difficult to abate penalties.)
過去の申告書をすべて申告済み、納税済みにして、コンプライアンスしているということを証明する必要があります。また、ソーシャルセキュリティ番号が必要です。FBARにおいて、もしも口座間で移動がある場合は、年末の残高で問題ありません。年末の残高が5万ドル以上であれば、FATCAが必要になります。
Todd's Accounting
尾崎 真由美
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