充実した生活を送るためには欠かせないメンタルヘルス(心の健康)。アメリカでのメンタルヘルスケアについて、基本情報を紹介する。
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、幅広い感情を感じることができ、相手に気持ちを伝えられ、健康的な人間関係を築いて保てる状態。心が柔軟で探究心があり、自分の内面の可能性に気付けて発揮でき、それぞれのコミュニティーに貢献できることとも言える。普段の生活にはストレスはつきもの。がっかりしたり悲しくなる出来事もある。そんな時にイライラしたり気持ちが落ち込むのは当たり前だろう。しかし、そのストレスに耐えられないと感じたり、ストレスが過ぎても気持ちの落ち込みや不安感が続いたり、自信や自尊心にも影響が出るようであれば、何か改善することがあるという兆候だ。
多く寄せられる悩み
心理的な悩みでよく寄せられるのは、うつ、不安感、人間関係に関する相談。パニック障害、過去に受けたトラウマの後遺症、引きこもり、摂食障害、対人恐怖、不登校、家族内や夫婦間の問題など。症状が何であれ共通しているのは、それらが社会生活や人間関係に影響しているということだ。それらは私たちの生活の基盤となるため、メンタルヘルスケアは非常に重要なものだと言える。
セルフケア
まずは、大切な人のケアをするように、自分のケアもしよう。健康的な食事と十分な睡眠と運動は大事だ。疲れたら休む、自分がリラックスできることをする、遊ぶ、笑うなど、自分の面倒をみてあげよう。アメリカ、特にベリエリアでは、メンタルヘルスの理解度が日本より高い。つまり、話しやすい環境にあると言える。まず信頼できる相手や、専門家に話すこともセルフケアの一つだ。
心理セラピーとは
心理セラピーとは、感情、経験、考えなどを心の専門家に話して、元の傷を見つけて癒し、人生の次のステップに進んでいくプロセス。ライセンスを持っている心理セラピスト、または精神科の医者やNurse Practitioner(上級の看護職)によって行われる。技法は様々なものがあり、研究によって効果が示されている。例えば、過去の心の傷を紐解き、長期にわたって生き方を変えていくものから、今現在悩んでいる症状に焦点を当てて、短期的に行動や考え方を改善するものまでいくつか種類がある。専門家はこれらをクライアント(患者)のニーズによって組み合わせて、クライアントが望む生き方に近づけていく。また、特定できる症状がなくても、考え方や感じ方を変えて人生の質を向上したいという目的でセラピーを受ける人もとても多い。心理セラピーは、自分への投資でもある。
プライバシー保護
心理セラピストによる心理セラピーでは、プライバシーは法律に則って守られる。基本的に(命の危険に関わるなどの例外を除いて)、クライアント(患者)からの許可がないと、いかなる情報を家族にさえ伝えない。これは心理セラピストとの信頼関係の基本となるので、セラピストにとっても非常に大事なものである。
心理セラピストの探しかた
心理セラピストは、健康保険会社と契約している場合(In-
Network)と、契約していない場合(Out-of-Network)がある。まず持っている健康保険について調べてみよう。Out-of-Networkの場合でも、健康保険によっては、費用のいくらかの割合がカバーされる。また、EAP(Employee Assistance
Program:従業員支援プログラム)と提携しているところもある。対面式とオンラインの両方の心理セラピーを提供しているところも多く、初回は無料でコンサルテーションを行うセラピストも多いので、まずは連絡を取ることをお勧めする。