日本の課税当局は昨今、国際相続に着目している。アメリカに住む人なら、日本の相続税制の動向に不安を感じているかもしれない。そこで、今回はアメリカにいながらできる日本の相続対策について説明しよう。
家族が日本に住んでいる場合
まず日本の相続税は、亡くなる人が日本に住んでいれば、全世界の財産に課税される。日本の相続税は亡くなった日に、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以上の財産を保有していれば課税される。これに対し、生前に行う贈与の非課税枠は受贈者1人につき1年で110万円で、それを超える財産を貰った人に、贈与税が課税される。相続税の税率も贈与税の税率も、財産額が大きくなるほど高くなる累進税率を適用している。
2023年までの相続対策
次に、贈与税の非課税枠110万円と累進税率を利用した相続対策を紹介する。
1. 非課税枠年110万円の活用
年110万円の贈与には、課税されない。この非課税枠を活用して生前に贈与することで財産を減らすことができる。
2. 税率差を利用した贈与の活用
相続税の税率が高い人の場合、基礎控除額110万円を超える贈与であっても、相続税の税率を超えない税率で贈与税を払って生前贈与をすることで、トータルでの税額負担を下げることができる。
3. 一代飛ばしの贈与で節税
法定相続人である子ではなく、孫に贈与することで相続税がかかる回数を減らすという節税もある。
その他、相続時精算課税制度にも改正が入る。詳しくは日本の税理士に相談しよう。
遺言書作成のすすめ
相続が「争続」にならないための有効な対策が遺言書作成。また、名義変更等の相続手続きを簡略化できることもメリットだ。相続手続きには、戸籍や住民票など用意しなければならない書類が多く、海外に住んでいると用意するだけで一苦労。遺言書があれば不動産名義変更、口座解約などの手続きが簡略化でき、スムーズに行える。
持つべき不動産と処分すべき不動産
資産の大半を占める不動産に関しても生前の対策が重要だ。不動産には収益性の高い維持すべき資産と、収益性の低い処分すべき資産がある。この収益性の低い資産を売却して収益性の高い資産に買い換えることはとても重要だ。なぜなら日本において収益性の低い資産が、今後収益性の高い資産に生まれ変わることは、ほとんど無いと見られているからだ。少子高齢化による人口減少型社会の進行が原因で、日本全国で不動産が余り始めている。つまり東京を除けば、日本の不動産価値は毎年目減りしており、不動産を持つことが資産減少につながるという地域が増加しつつある。収益性の低い資産は処分して高い資産へと買い換えておくことをお勧めする。
また、相続税の資産評価方法である相続税路線価を用いた評価方法によると、時価額が路線価評価額を下回るという事例が生じることもある。「価値が低いのに、かかる税金は高い」という現象だ。これを防ぐには事前に所有不動産の市場価値を知り、その価額が相続税評価額よりも高いのか、低いのかを把握しておくことだ。「価値が高いのにかかる税金は低い」という不動産所有の仕方が理想的的だ。海外から調べることは
困難であるため、一度相談してみるといいだろう。
国を超えての相続問題は複雑なため、詳細は専門家に相談することをお勧めする。相続、帰国準備、不動産売買について、各専門家がワンストップで対応するサービスや初回相談を無料で行なっているところもあるので、気軽に問い合わせてみよう。
情報提供:TOMA税理士法人//TOMAコンサルタンツグループ
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