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ベイスポ特別インタビュー -ケン岡田さん(Jazzベーシスト)-

2023.10.05

配信

ベイスポ特別インタビュー -ケン岡田さん-


ベイエリアを拠点に活動するJazzベーシストのケン岡田さん。11月10日(金)に、ベイスポでも紹介した天才ドラマーのYOYOKAさんをフューチャーしたライブを予定している。そんなケンさんに、ご自身の音楽活動、ベイエリアのジャズシーン、YOYOKAさんとのライブへの意気込みについても話を伺った。

Q. 日本では、松任谷由実、大野雄二、北村英治、細川綾子、三宅裕司などの大物アーティストと共演されたとのことですが、ミュージシャンになられたきっかけを教えて下さい。

 父の仕事の関係でブラジルに住んでいた5歳の頃、2人の姉の影響でピアノを習い始めたのが音楽に触れた最初の出来事でした。その後、日本で過ごした中学高校時代に友達とやっていたバンド活動を通じてベースやドラムやギターを弾くようになったり、コンピュータを使った音のプログラミング(いわゆる打ち込み系の電子音楽)をするようになりました。

 やがて、当時流行っていたフュージョン音楽にハマり、T-スクエアやカシオペアなどの日本のバンドのカバーや、オリジナル曲を作ってコンテストに応募していたのですが、アドリブ演奏が苦手だったので、ジャズを練習すればアドリブが得意になるのではと思い、大学入学後は慶應義塾大学のジャズバンドに在籍してジャズばかりやっていました。

 実はご質問で触れられたアーティストの方々との共演は、このジャズビッグバンドKeio Light Music Societyでベースを演奏していた時のことです。同バンドは業界人のOBも多く、有名アーティストの方々と共演させていただく機会を多くいただきました。卒業後はプロになる友人も多く、その影響もあって音楽AI開発のスタートアップをやりながらセミプロ活動をしていました。そもそもそのスタートアップ自体も音楽仲間と一緒に作ったもので、会社の仕事をしていても常に音楽のことを考えていましたし、フルタイムのプロミュージシャンの友人たちに音楽データを作るのを手伝ったりしてもらっていました。なので自分の中では会社をやりながらも、ミュージシャン気分でいたようなところがありました。


Q. 思い出に残るアーティストとの共演は?

 大学時代に在籍していたジャズバンドのリサイタルで、ジャズボーカリストの細川綾子さんと共演させていただいたことです。細川さんの日本人とは思えないスウィング感に圧倒されました。細川さんはいつも「歌手がうまく聞こえるのはバックバンドが素晴らしいから」といつもバンドを立てていらっしゃいましたが、本当は歌だけのアカペラで歌ってもスウィングさせられる稀有な方でした。

 それから10年以上経ってベイエリアに移った後、細川さんもベイエリアに在住されていることを知りました。再会してからは、数えきれないくらい多くの演奏の仕事でベーシストとして使っていただきました。東日本大震災の後にサンノゼで複数年に渡って行われ、僕が音楽ディレクターを担当したチャリティーイベントJazz Katsuにも5回全てに出演してくださいました。残念ながら細川さんは2020年11月に亡くなられましたが、今でも「Mack the Knife」など良く一緒に演奏させていただいたジャズスタンダード曲を聞くと細川さんのスウィング感溢れる歌声を思い出します。


Q. アメリカにはいつ頃、どうしてこられたのですか?

 2002年に、当時日本でやっていた音楽AI開発のスタートアップの関係で、シリコンバレーに新たに本社を設立するためにサンノゼに来ました。当時アメリカでも流行り始めた携帯電話の着信メロディーにも自分等の技術を応用して、着信メロディーをインタラクティブに自動生成できるサービスを展開しておりました。iPhoneの登場などにより、アメリカでの着信メロディービジネスは廃れてしまいましたが、貴重な経験でした。その後、シリコンバレーのゲーム関連の企業をいくつか経て、現在はNvidia社で自動運転AIに関する仕事をしています。スタートアップをベイエリアでやっていた頃は、なかなか音楽のプロ活動をする時間はなかったのですが、スタートアップを一旦あきらめて企業で働くようになってからは逆に音楽に取り組む時間を多く取れるようになり、プロ活動を再開することができるようになりました。人生はわからないものです。


Q. YOYOKAさんとの出会いについて

 YOYOKAさんと出会ったのは知人の紹介でした。元々YOYOKAさんのYouTubeビデオは見たことがあったのですが、アメリカに移住していたことは知りませんでした。紹介された当時、YOYOKAさんは渡米してから3ヶ月ほどで、まだ演奏機会を手探りしている状態でした。初めて会った時に二人でジャムセッションをしてみて、安定感のある素晴らしいグルーヴと卓越した技術、それでいて遊び心を持ち、思い切りの良い自由なプレイができていることにびっくりしました。これは何か一緒に形になるものをやってみたいと、すぐに録音のためにスタジオの予約をして、その2ヶ月後に一日で7曲を録り切るセッションをしました。この録音をジャズフュージョン系アルバム「Square One」としてリリースしました。


Q. YOYOKAさんとJAZZを繋げたのはなぜですか? 

 最初に会った頃からYOYOKAさんはいずれLAに引っ越すことになっていたので、ベイエリアにいる期間の意義として、ぜひジャズを経験して自身の音楽世界を広げてほしいと思ったためです。また、ロックドラミングをすでに高いレベルでマスターしているので、ジャズフュージョンもカッコよく叩けるであろうことは最初のジャムセッションの時に容易に見て取れました。予想通り、即興度の高いジャズフュージョンのライブでも、その場のアイコンタクトで曲の流れを決めたり、即興のソロを叩くことにもすぐに慣れ、一緒に演奏するベテランのジャズミュージシャンたちも舌を巻いていました。アルバム「Square One」を聞いた多くのミュージシャン仲間からも、「YOYOKAのソリッドなグルーヴはスティーヴ・ガッドみたいだ。すごいね」と共通したコメントを何度も聞きました。


Q. 11月のライブに向けて意気込みをお願いします

 YOYOKAさんと一緒にライブをやるのは11月10日、通算4回目となります。実は当日の日中に別の場所でもライブをやることになっているので、実際は5回目になるはずですが。かなりお互いのグルーヴ感やサウンドの捉え方も分かってきて、僕のオリジナル曲を中心にレパートリーも増えてきましたので、バンドのより締まった演奏を楽しんでいただけると思います。また、今回はサンノゼのジャズシーンの中心的組織であるSan Jose Jazzによるイベントですので、いよいよ僕たちのサウンドをベイエリアのジャズシーンの一部として発信していく第一歩だと思っています。来年以降のベイエリアでの活動の広がりにも繋がっていく大事なライブですので、是非成功させたいと思っています。是非ご来場ください。応援よろしくお願いします!


プロフィール

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Ken Okada

ベイエリア・サンノゼを拠点とするJazzベーシスト。NY生まれ、ブラジル・サンパウロと日本の横浜市で育つ。中学生の頃にバンド活動を始め、大学生時代は慶應義塾大学のジャズバンドに在籍し、日本最大規模のビッグバンドコンテストで優勝。ベイエリアに拠点を移した2002年以降は、著名な地元ジャズ・アーティストとの共演するほか、多くのジャズ・フェスティバルにも出演している。

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