大学卒業後、語学留学をしたサンフランシスコに長く住むことになるとは思っていなかったという下西さん。働くこと自体が天職だという彼女に、ベイエリアでの暮らしについて伺った。
ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
2002年に日本で大学を卒業した後、サンフランシスコへ語学留学したのがきっかけです。1995年に生まれて初めて訪れた海外都市がサンフランシスコで、まさかそのあと半生を過ごす場所になるとは思ってもみませんでした。
ベイエリアに最初にきた時の
印象
サンフランシスコはアメリカ最大都市の一つ、というわりには日本と比べてのどかだなぁと思いました。バスのチケットがわら半紙のようなぺらぺらの紙で、それを運転手が手でちぎって渡してくれるというアナログさにもびっくりしました。
ベイエリアの今の印象
本当に恵まれた場所だと思います。気候が良く適度に都会で適度に田舎。ヨセミテやレイクタホなど、何度も訪れたくなるような場所にもすぐに行ける。物価は高いけれど、それでも人を魅了する場所なんだろうなと思います。
あなたにとって、ベイエリアはどんな場所ですか?
第二の故郷になりました。日本に帰ってもほっとするけれど、日本からこちらに帰ってきたときもほっとします。なによりもここを故郷とよべるようになったのは「アメリカの家族」になってくれた素敵な友人やコミュニティのおかげだと思います。
どんなお仕事をされていますか?
冷凍の野菜、果物を主に扱う貿易会社でアカウントマネージャーをしています。アメリカだけでなく南米やヨーロッパなど全世界から調達し、日本、韓国をメインにアジアへ輸出をしています。私の仕事は、異なった国の輸出元と輸入元の間をいかにシームレスにつなげられるかが鍵になります。コロナ禍の3年は、船賃の急上昇やコンテナ不足などチャレンジの多い時期でしたが、その分工夫をこらして他社との差別化を図れたと自負しています。
英語を使って仕事をすることについて
私の働いている業界は英語が第二言語の人が多く、彼らとコミュニケーションするのに英語は欠かせないものですが、あくまでもツールだと思っています。先日業界で活躍されている方とお話しする機会がありました。ヨーロッパのアクセントが強くて私にとっては聞き取りにくい英語なのですが、聡明さがわかる話し方、内容で話にぐいぐい引き込まれました。こういう人に出会う度、昔ESLの先生に言われた「英語のスキルを磨くのも大事だけど、何を話すかのほうがもっと大事なのよ」という言葉を思い出します。
英語での失敗体験
初めてサンフランシスコに旅行で訪れたときに道端で絵を売っているアーティストがいて、気に入った絵があったのですが、予算オーバーだったので(自分にとっては)expensiveと言ったら、絵に対して値段が高すぎるという表現になってしまったようで、嫌な顔をされてしまいました。
あなたにとって仕事とは?
エネルギーをもらえる大切な場所です。今あるものをよりよいものに改善したり、人に喜ばれることが好きなので、“働く”こと自体がまさに天職だと思っています。あと、遊びの時間を一層楽しくしてくれるものでもあります。
子どもの頃になりたかった職業
花屋です。祖母が俗にいうGreen Thumbで、たくさんの花や植物を育てていて、毎日朝夕かなりの時間をかけて水やりをしていました。小学生の頃は、一学期の終業式の日から二学期の始業式の前日まで祖母の家で過ごすぐらいのおばあちゃん子でした。
休日はどんなふうに過ごしていますか
朝はスイムチームの練習に行きます。練習の後にアップルウォッチでSWOLF(いかに効率的に泳げているかを測る指標)のスコアを見るのが楽しみです。先日、ナパのベリエッサ湖で初めてオープンウォータースイムにチャレンジしました。プールと違って視界が悪く、水も冷たくて戦々恐々でしたが、泳ぎ切った後の達成感は素晴らしかったです。午後はその時々ですね。最近は友人が立ち上げた多肉植物と手作りの陶器を販売するポップアップのお手伝いに行っています。
ベイエリアで好きな場所
レッドウッドが好きなのでオークランドのラインハート・レッドウッド・リージョナルパークがおすすめです。以前はビッグベイスン・レッドウッズ州立公園が一番のお気に入りで毎年キャンプに行っていましたが、3年前の山火事で焼けてしまって本当に残念です。
よく利用する日本食レストラン
ラーメンひろしです。サンラモンとウォルナットクリークの店舗にはよく行きますが、アラメダとサンフランシスコにはまだ行けてないのでいつか行ってみたいです。担々麺がおすすめです。
現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
暑すぎたり風が強かったり雨が降りすぎると止まる電気供給。
現在のベイエリア生活で不安に感じること
医療費の高さです。去年、息子がフットボール中に半月板を損傷して修復手術をしたのですが、請求額にびっくりしました。あと、ほとんどの請求書に間違いがあって、保険会社と病院とのやり取りが大変でした。
日本に郷愁を感じるとき
暖かい日に雨が降ったり、湿度が高いと日本の夏を思い出します。
おすすめの観光地
デスバレーがおすすめです。スポットごとに色んな顔があってどれも素晴らしいのですが、息子が事前に調べてくれた早朝のザブリスキーポイントが特によかったです。朝日に照らされた山の色が徐々に変わっていく様は、言葉では言い表せません。ぜひ訪れてみてください。
プロフィール
下西 多恵
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Tae Shimonishi
神戸生まれ。中学生の時に友人のいとこが経営する英語教室の幼児クラスのアシスタントをした経験を通し、英語に興味を持つ。大阪の大学を卒業後渡米、貿易会社勤務。趣味は水泳と美味しいものを食べること。地元のマスターズスイムチームに所属している。