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海外のラーメン市場を斬る! -四代目ひのでや 店主 栗原 正生-

2023.11.21

配信

世界各国のラーメンを食べ歩き、市場視察する栗原氏は、「銀座吉兆」で修行した後、在オランダ日本国大使館の大使公邸料理長を務める。2016年には、サンフランシスコ日本町にラーメン店「四代目ひのでや」をオープンした。この秋、海外6店舗目としてイーストベイのニューアーク市に新店をオープンする。早速、同氏に海外のラーメン事情について聞いてみた。        

 

アメリカ進出の理由は

元々は和食の出汁(だし)の旨みの文化を「世界」に広げる、ということが目標でした。アメリカがゴールというわけではないです。最初に取り掛かる世界への突破口として、世界進出へ一番良い足掛かりになる場所がアメリカでした。ビジネスの市場規模、ルールのグローバルさ、ダイバーシティーなど、世界戦略のスタートとしてのハードルは高いエリアですが、乗り越えることで世界につながると信じられたからです。



アメリカ人が好むラーメンは「豚骨」になりますよね?  

そうですね。クリーミーな豚骨は、肉食欧米文化に根ざした感覚から言うと油脂分も多く馴染みやすい、感じやすい旨みの成分ということがあるかもしれませんね。

 


 なかなか「豚骨」以外が流行らない理由はなぜでしょう。  

ラーメンがグッと流行り始めた時に「ラーメン=とんこつ」のような構図があったということもあると思います。 塩ラーメンや醤油ラーメンも以前からあったと聞いておりますが、それほどブームにならなかったのはやはり当初、アメリカでは濃度の高いラーメンスープが好まれたのでは?と想像します。


 現在の日本のラーメン業界のトレンドは ?  

日本では豚骨、つけ麺、油そばなどと変遷を遂げて、百花繚乱のバラエティな時代になって来ています。今後は、徐々に清湯旨み系が伸びて来るのではないかと個人的には感じております。

 

 アメリカ向けに工夫、アジャストしている点はありますか  

はい、あります。「ひのでや」は魚介の旨みですが、日本のお店のものに比べてアメリカでは魚をやや抑えて、その分、貝の旨みを強くしています。またチャーシューも日本は肩ロースですが、こちらでは三枚肉を使用。チャーシューからのラードがスープに溶け出てさらに厚みを出すように計算しています。その他、麺も日本とは変えております。さらにトッピングも・・・。米国に進出して7年になりますが最初の頃に比べてスープも麺もトッピングも同じ「出汁ラーメン」でも、毎年数々の改良と工夫を加えて進化しています。

                         

すでにアメリカでは「ラーメン」の地位を確立しましたが、アメリカのラーメン業界はこれからどのように変化していくと思いますか。  

プレーヤーが増え裾野が広がった分だけ、競争も激化してきていますし、お客様の求めるレベルも上がってきています。広いアメリカ、エリアにもよるとは思いますが、ラーメンも含めた広い意味での色々なものをあつかうジャパニーズレストランからよりラーメン専門店へと特化する傾向、そして今後は豚骨一辺倒から徐々に味噌や塩、清湯系やビーガンといったヘルスカンシャスの高いラーメンヘとシフトして来るのではないでしょうか。


カリフォルニアとテキサス、ニューヨークなどエリアによる違いはありますか。また、全世界の視察をされてますが、今後伸びるエリアや今、盛り上がってるエリアなど教えてください。  

CAとTXはかなり違いますね!食事や味わいの好みという以前に、気候も文化習慣的なものも含めてだいぶ違います。お客様だけでなく働くスタッフも違います。TXは、外国みたいです。NYとは近しい共通項を結構感じます。価格帯も新しい物に対する市場の反応の速さも近いですね。世界俯瞰で言えば、ヨーロッパはロンドン、パリはもちろん、ドイツのデュッセルやオランダのアムステルダムなどもかなりすでにレッドオーシャンです。これからのラーメンという意味では、スペインのサンセバスチャン、スイスのチューリヒなどは面白いと思います。また、アジアでしたらベトナムならハノイ、タイならチェンマイ、フィリピンだったらセブがまだ先行者利益がありそうです。北米の場合、カナダのバンクーバーやトロントは、すでに多くのラーメン店がありますが、アメリカのブームよりは後発でまだ伸び代の勢いがかなりあると感じています。あと、中南米なら、やっぱりメキシコシティ!ただここは標高が高くラーメンを茹でるのに工夫が必要ですね。今年はこれからエジプトとアフリカを視察してきます。

              


 先日、日本のTV番組ではまぐりラーメンが紹介されましたね!その後の評判はいかがでしたか?  

話を聞いて知ってはいましたが、やっぱりこの時代でもテレビの効果はものすごいですね。しかも今回スタジオでも作って提供するといった形で取り上げられ方が結構大きかったので、ものすごい反響でした(というか今もまだ続いています)。現在、営業時間枠を拡大して対応していますが、まだ大盛況です。結構遠方からもわざわざ来て並んでいただいている方も多いですね。心を込めて、精一杯美味しいラーメンを提供させていただきます。

 

 ラーメンの魅力をお知らせください  

いろいろあると思いますが、やはり料理としてみた場合 スープ(前菜) 、麺線(パスタ)、トッピング(アペ、アントレ、肉野菜)といった要素が一つで楽しめるといったところは大きいと思います。そしてそれぞれの要素をバラエティに選べて、ほぼ無限とも言える組み合わせにできる点でしょうか。時代に合わせて発展進化(例えば、ヴィーガンとかグルテンフリーとか)していけるというのも魅力ですね。そして何より私にとっては、ラーメン屋の倅として幼少の頃よりいつも身近で慣れ親しんだ心の味なのです。




プロフィール

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Masao Kurihara

世界各国のラーメンを食べ歩き、市場視察する栗原氏は、「銀座吉兆」で修行した後、在オランダ日本国大使館の大使公邸料理長を務める。2016年には、サンフランシスコ日本町にラーメン店「四代目ひのでや」をオープンした。

680 Clay St, San Francisco, CA 94111

https://hinodeyaramen.com/

415-200-6466

2016年秋にアメリカ第1号店をSF日本町にオープンし、瞬く間に不動の人気を獲得した超人気店。鰹・昆 布 から とった香り高き「DASHI」を軸にした、UMAMIラーメンを通じて日本料理を広めていきたいとこだわりの一杯を提供している。はまぐりラーメンも大人気。

詳細を見る

1737 Buchanan St, (サンフランシスコ日本町), San Francisco, CA 94115

http://hinodeyaramen.com/

415-200-6466

2016年秋にアメリカ第1号店をSF日本町にオープンし、瞬く間に不動の人気を獲得した超人気店。鰹・昆 布 から とった 香り高 き「DASHI」を軸にした、UMAMIラーメンを通じて日本料理を広めていきたいとこだわりの一杯を提供している。

詳細を見る

2210 S Bascom Ave, Campbell, CA 95008

https://hinodeya-campbell-town.square.site/

408-744-2155

サンフランシスコで大人気のラーメン専門店「ひのでや」が、シリコンバレーに進出!鰹・昆布から取った香り高き出汁のスープに小麦香る全粒粉を使った特製の平打ち縮れ麺がマッチするシグネイチャーの「ひのでやラーメン」などが堪能できる。お洒落な店内のほか、テラス席も完備。

詳細を見る

219 O'Farrell St, San Francisco, CA 94102

https://hinodeya-unionsquare.square.site/

415-740-1484

人気ラーメン店「ひのでや」ユニオンスクエア店。こちらでは、ラーメンのほか、居酒屋メニューやお酒もあり、ラーメンとして、また居酒屋としても利用可能。さらには、和朝食も提供している。朝7時から夜中1時半まで営業。

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オンライン版はこちら

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