あの懐かしい味を
アメリカで展開したい
クリームソーダでインスピレーションを

日本で過ごした少年時代に飲んだ炭酸飲料のおいしさを追い求め開発した「Shonen Soda(少年ソーダ)」の販売を始めた、橋本りょうたさん。会社経営者である母親の影響を受け、現役大学生ながら自身のビジネスを展開する橋本さんに、「少年ソーダ」販売に至るまでの話を聞いた。

「Shonen Soda」創業者
橋本 りょうた
「少年ソーダ」とは
どんなものですか?
「バナナ」「エルダーベリー」「オレンジ」フレーバーのクリームソーダです。少年時代に大好きで飲んでいた日本のメロンソーダ、クリームソーダ、イチゴオーレといった飲料に近いものが海外ではほとんどないと感じていました。ならば自分で作って、アメリカ市場で販売すれば、多くの人に驚きと感動を与えられるんじゃないかと考えました。
なぜ飲料を?
もともとビジネスをやりたいと思っていましたが、何をするべきか分かりませんでした。ある日、あるお店で日本の炭酸飲料が売られているのを見て、「おいしい飲料を日本から持ってきて売ったら面白い」という話を友達としました。そのあと、話は立ち消えてしまいましたが、少年時代に飲んでいた日本の炭酸飲料が本当に好きだったことを思い出しました。それで、アメリカでどういうものが売られていて、または売られていないのか、飲料の市場を徹底的に調べて、何十種類もの炭酸飲料を買って飲んでみました。それでビジネスとして何かを始めるにあたり、突き詰めて考え、好きだったクリームソーダを作ろうと思いました。
自身でのビジネスに興味を持ったきっかけは?
僕は東京で生まれ育ち、7歳からカナダ、アメリカと移り住みました。母はアメリカでヘアサロン経営やヘアプロダクト開発など、いろいろな事業に携わっていて、経営や会社についての話を毎日のように聞かせてくれました。自分も興味を持ち始めてビジネスをやりたいと思うようになり、大学も経営学を専攻しています。

また、通っている南カリフォルニアのチャップマン大学の友人たちで、家族が会社を経営している人も多くて、「こういうことをやったら楽しいね」といったビジネスのことを日常で話している影響もあると思います。「少年ソーダ」のことは、大学1年生のころから考え始めました。事業自体は、母が経営する会社の社内ベンチャーのような形で始めていますが、プレゼンをして説得し、事業として成り立つかを見極めてもらい、精査をして、プランの改善を経て、プロジェクトの開始となりました。
そこからどうやって製造に?
何も分からないところからリサーチを始めました。「ビバレッジアーキテクト」という、飲料を作ってくれる会社があると知り、コンタクトを取り合って、自分が作りたいものを理解してもらうまで話し合いました。3週間に1度ぐらいのペースで送られてくる、数種類のサンプルへのフィードバックを続けて、3種類の味を決めるのには2年ほどかかりました。トライ&エラーの連続で、他にはない固有の味を出すことにこだわりました。またクリームソーダの「クリーム」部分、コクがあることが特徴なのですが、同時に甘ったるさが出るので酸を強めて、さっぱりさせることで、「少年ソーダ」として完成しました。
大変だった部分は?
飲料作りにも時間がかかりましたが、製造工場を見つけるのが本当に大変でした。全米の製造工場に片っ端から連絡したのですが、炭酸が強い、製造本数が少ないと断られ、2カ月ほどやりとりして、「やっぱりできない」と言われたこともあります。今回製造をお願いしている工場も大丈夫か何度も確認し、必要書類を集め、決まるまでに5カ月かかりました。商品はすでにできていて、オンラインで販売を開始しています。これからアジア系マーケットなどで販売しようと考えています。

また、この事業を始める上で、飲料という大きな市場に挑むために「徹底してやる」ことを決めてやりました。でも自分は、大学の勉強もしながらなので、テスト期間などはそれを言い訳にして、徹底してできないこともあったりしましたが、その度に決めたことを守らなければいけないと自分を鼓舞して今までやってきました。
「少年ソーダ」をどういうものに
していきたい?
これまでも自分は恵まれた環境にいるんだなと思うことが多くありました。みんなが同じように海外で勉強できるわけではないし、家族の支援を受けられるわけではない。それならば、自分がやることで、一人でも多く、助けを必要としている人の力になりたいと考えています。そのため利益の一部を「Children Incorporated」という支援団体を通じて、世界中の支援を必要とする子供たちに寄付をして、夢を届けることも目標にしています。
また、まだ利益も全然出ていないのに言える立場ではないのですが、僕自身、日本から来ているし、日本にインスパイアされて作ったソーダなので、文化に誇りを持って、人をインスパイアしたいし、そういう思いに共感してもらえたらと思っています。
プロフィール
橋本 りょうた
/
Ryota Hashimoto
日本で過ごした少年時代に飲んだ炭酸飲料のおいしさを追い求め開発した「Shonen Soda(少年ソーダ)」の販売を始めた、橋本りょうたさん。会社経営者である母親の影響を受け、現役大学生ながら自身のビジネスを展開する橋本さんに、「少年ソーダ」販売に至るまでの話を聞いた。