カナダ・バンクーバーからベイエリアに移ってきた奥田朋世さん。今年から公教育に関わりたいと考え新たな仕事を始めた奥田さんに、ベイエリアでの暮らしについて聞きました。
ベイエリアに住むことになったきっかけと最初の印象
2016年に、夫の転職をきっかけに渡米して来ました。
ベイエリア最初の印象と今の印象は?
ベイエリアに来る前は、カナダのバンクーバーで約5年間大学院生活を送っていました。雨量が多いバンクーバーに比べ、ベイエリアは年がら年中カラッと晴れていて、「これからこの地で頑張って生活を始めていこう」と意欲が湧いてきたのを覚えています。今は、ベイエリアで住み続けることがいかに大変かを実感し、夫婦共に頑張って働いています!
あなたにとって、どんな場所ですか?
ベイエリアは、向上心の高い人が周りに多くて、自分には最適な場所だと思います。
自分の専門分野は?
ベイエリアに移って来てしばらくは、シリコンバレーの言語IT系の会社でAIや音声認識技術を搭載した、英語スピーキングアセスメントのコンテンツ開発をしていました。テックの世界は革新的で面白かったですが、もっと公教育に関わりのある職に就きたくなり、今年の夏にBerkeley Unified School Districtへ転職しました。ディストリクトではバークレーの公立学校の教育データを基に、どのように指導や評価方法を変えたら、人種・社会的地位に関係なく教育の機会均等を図れるか、日々考えています。
その道に進むことになったきっかけは?
学部生の頃から、第二言語の習得過程や教授法などに興味を持ち、大学院では応用言語学(英語教育学)を専門として、学習データを分析していました。小学生から大学生まで、幅広い生徒層の日本人に英語を教えていました。カナダの大学では、世界中の留学生にアカデミックライティングやリサーチスキルなどを教えたこともあります。その経験を生かし、これからも言語、教育、データ、テクノロジーに関連する仕事をしていきたいです。
英語での成功体験、失敗体験があれば教えてください。
英語には決まり文句(set phrase)がたくさんあるので、時々、中途半端に覚えたフレーズを間違って会議で使ってしまいます。言語習得の過程では、そういう間違いを指摘されたり、自分で気づいたりすることで習得が促されるので、間違ってもすぐ開き直ります。
あなたにとって仕事とは?
両親が共働きだったため、昔から自分が仕事をする姿をイメージしていましたし、3年後、5年後、10年後のキャリアについてもよく考えます。 “Working mom” は自分の大切なアイデンティティの一つです。
もし、今の仕事に就いていなかったら、どんなことをやっていたと思いますか?
今の仕事に就いてなかったら、社会学や文化人類学などの教育とは違う分野で、研究者になっていたかもしれません。
休日はどんなふうに過ごしていますか?
フィットネスクラスが好きなので、ジムに行ったり、公園で開催されるクラスに参加したりしています。3歳半になる娘も運動好きで、体操にはまっているので、近所のトレーディングエリアや公園によく連れて行きます。腹筋や背筋が大人顔負けです!
ベイエリアおよび近郊で好きな場所はどこですか?
ベイエリア内で住んだ街の中で、今住んでいるバークレーエリアが一番好きです。人がインクルーシブで温かく、昔ながらある家の雰囲気も好きです。近所付き合いが盛んで、メーリングリストやブロックパーティーなどがあるのも驚きでした。海がもともと好きなので、バークレーマリーナやオールバニビーチにはよく行き、海を眺めながら人生について考えます。
お気に入りのレストランは?
1回しか行ったことないですが、バークレーの「Riva Cucina」というイタリア料理店がおいしかったです。
日本に戻る頻度は?
日本には年に1度帰国します。
日本へのお土産は何を持っていきますか?
ナパやソノマのワインとベイエリア産のコーヒー豆を持って帰ると喜ばれます。
日本からベイエリアに持って帰ってくるものは?
日焼け止め、雑誌、化粧水など、ベイエリア では高い物を買います。
日本に郷愁を感じる時は?
日本の友人や家族がお花見をしている写真を見ると、いつもうらやましくなります。
永住したい都市は?
今のままアメリカに留まりたい気持ちもありますが、他の国に住んでみたいという気持ちもあります。シンガポール、香港、スペイン、オランダあたりに住んでみたいです。
5年後の自分に期待することは?
娘を優しい人間に育て、夫に優しく接し、仕事でたくさん出世すること!
最近読んで印象に残っている本は?
アンジェラ・ダックワースの『Grit: The Power of Passion and Perseverance』(日本語版『やり抜く力』)という本はとても良かったです。大きな成果を出した人を分析し、成功に必要なのはGrit=やり抜く力だと説いている本です。当たり前のような話ですが、パワフルで納得できる本でした。
最近観て印象に残っている映画は?
先日2年ぶりに映画館で映画を見ました。たまたま近所の映画館で上映されていた『My Policeman』(邦題『僕の巡査』)というAmazon Studiosの映画でしたが、最後は思いのほか、号泣してしまいました。まだパンデミックは終わっていないですが、人と会ったり、映画館に行ったりなど、元通りの生活に戻りつつあることがうれしいです。
座右の銘は?
ラルフ・ウォルドー・エマーソン(19世紀の米思想家)の“Do not go where the path may lead, go instead where there is no path and leave a trail.”は、今までの研究やキャリアの選択において、大切にしていることです。
プロフィール
奥田 朋世
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Tomoyo Okuda
Berkeley Unified School Districtのデータアナリスト。大学生の頃に第二言語習得に興味を持ち、研究生活を始める。カナダのブリティッシュコロンビア大学にて博士号(応用言語学)を取得後、夫の転職を機にベイエリアに来る。現在は、Berkeley Unified School Districtにて教育データ分析に携わる。家族は、科学者の夫と体操が好きな3歳の娘。